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  <subtitle type="html">小説用倉庫。</subtitle>
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  <updated>2012-02-04T17:43:32+09:00</updated>
  <author><name>逆凪</name></author>
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    <published>2013-03-12T13:49:02+09:00</published> 
    <updated>2013-03-12T13:49:02+09:00</updated> 
    <category term="[長編]　Reparationem damni" label="[長編]　Reparationem damni" />
    <title>第二章　第五話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[「……ルシェイド？」<br />
　心配そうな声に目を開けると、目の前にセイラスの顔があった。<br />
「傷が痛むか。戻るか？」<br />
「平気」<br />
　何か言いたそうだったが、部屋には戻らないでくれた。<br />
　言いたいことを、分かってくれる。<br />
　この人は。<br />
<br />
「あ、あの」<br />
　中庭を後に歩き出したセイラスに、ルシェイドが話し掛ける。<br />
　セイラスは振り返ると、無言でルシェイドを見つめた。<br />
　その沈黙が先を促すものだと気づくのに少しかかったが、聞きたかったことを聞こうとして口を開き。<br />
　そこで凍りついたように動きを止めた。<br />
　あまりに唐突な停止の仕方に、セイラスが訝しげに眉を寄せる。<br />
「……おい？」<br />
　不安に思ったのだろう、躊躇いがちに声をかけるが、ルシェイドが微動だにしない。<br />
　ルシェイドの視界の中で、セイラスの姿が大きく歪んだ。<br />
<br />
　同時に風を切るような音が周囲を圧して響く。<br />
　平衡感覚が失せる。<br />
　立って居られない。<br />
　ぐらりと倒れこむように視界が揺れ、それを耐えるように瞼をきつく閉ざす。<br />
　だが全身に強い風を感じて目を開けると、眼下に町並みが見えた。<br />
　さっきまで廊下に居たはずだ。<br />
　混乱して辺りを見回す。<br />
　右手に高い山がそびえ、左側には町並みと、少し高台に城のようなものが見えた。<br />
　その城に、少し見覚えがあった。<br />
　ロの字型。<br />
　石造りの其処に、さっきまで居たのだと妙な確信があった。<br />
　視界で赤い色がゆれた。<br />
　城のさらに向こう、いくつかの森と草原の彼方に動く赤い色。<br />
　段々大きくなっていく。<br />
　近づいてきているのか。<br />
　それとも自分が近づいているのか。<br />
　嫌な気配がする。<br />
　ざわりと髪が逆立つほどの、不快感。<br />
　あれは排除すべきもの。<br />
　取り除かなければ役目に反する。<br />
（役目？）<br />
　耳慣れない言葉。<br />
　世界を正しく動かす為に。<br />
（何の、話を）<br />
　その声は耳に聞こえるものではなく、内から響いているようだった。<br />
　淡々とした、感情を感じさせないまるで機械のような。<br />
　激しくかぶりを振る。<br />
（そんなものは知らない）<br />
　強くそう思っても声は消えない。<br />
　あれを排除するのだと。<br />
　方法も理由も告げずにただそれだけを繰り返す。<br />
　けれど、あの赤いものが自分や、自分が今居る場所にとっても危険なのだと、何故かわかった。<br />
　それでも。<br />
（そんなもの、僕は知らない――！）<br />
<br />
「ルシェイド！」<br />
　切り裂くような鋭い声に、ルシェイドは目を瞬いた。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>逆凪</name>
        </author>
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    <published>2013-03-12T13:11:48+09:00</published> 
    <updated>2013-03-12T13:11:48+09:00</updated> 
    <category term="[長編]　Reparationem damni" label="[長編]　Reparationem damni" />
    <title>第二章　第四話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　飲み込まれそうな漆黒の瞳をしている彼女は、セイラスの隣りに立っているルシェイドを見て首を傾げる。<br />
「セイラス、どうしたの？」<br />
　綺麗とは言えないが、良く通りそうな声だ。<br />
「教えてやってくれ」<br />
　端的に言うと、リィーナにはわかったらしい。<br />
　首をかしげたままルシェイドを見て、一つ頷く。<br />
「そうね。よろしく。ルシェイド」<br />
「教えてくれるの？」<br />
　聞くと、リィーナは微笑んで頷いた。<br />
　顔を輝かせるルシェイドに、セイラスが言う。<br />
「だが、まだ駄目だ」<br />
　不満そうな顔をしてセイラスを見上げると、セイラスは微かに眉を寄せてルシェイドを見ていた。<br />
「おまえ、怪我人だろう。無理だ」<br />
「怪我してたの？」<br />
「重体だといって良い」<br />
　驚くリィーナに、セイラスは平然と言った。<br />
「じゃあ、駄目ねぇ」<br />
「怪我なら平気だ！」<br />
　ルシェイドが言うと、リィーナは間近まで顔を寄せていった。<br />
「怪我を甘く見たら駄目よ。同時に、魔法もね」<br />
　強く言われ、ルシェイドは迷った末に頷く。<br />
　リィーナはにっこりと笑った。<br />
「怪我が治ったらいらっしゃい。歓迎するわ」<br />
　そう言って少年たちの方に戻って行った。<br />
　セイラスに促され、その場から歩き出す。<br />
「セイラス」<br />
　呼びかけると、セイラスは意外そうな顔をしていた。<br />
　そのまましばらく黙っているルシェイドの頭に手を乗せる。<br />
「何だ？」<br />
「セイラスは、剣を扱うんでしょう」<br />
「……まあな」<br />
「魔法は使わないの？」<br />
「使えるが……それがどうかしたのか？」<br />
　ルシェイドは少し考えて言った。<br />
「怪我してると魔法は使えないの？」<br />
「……使えないことはない」<br />
　苦虫を噛み潰したような表情でセイラスが答える。<br />
「じゃあ、どうして駄目なんだ？」<br />
「おまえが素人だからだ」<br />
　言われて、目の前が暗くなるのを感じた。<br />
　傷の所為ではなく、何か。<br />
『素人だから』<br />
　駄目なのだと。<br />
　過去。<br />
　あの時の。<br />
　言い知れぬ悔しさ。<br />
　焦燥。<br />
　何の？]]> 
    </content>
    <author>
            <name>逆凪</name>
        </author>
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    <published>2012-10-19T15:14:26+09:00</published> 
    <updated>2012-10-19T15:14:26+09:00</updated> 
    <category term="[長編]　Reparationem damni" label="[長編]　Reparationem damni" />
    <title>第二章　第三話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　頬に柔らかな風を感じて、ルシェイドは薄く目を開けた。<br />
　静かな場所だったけれど、明るい光に満ちた空間だと思った。<br />
　風が流れていくのがわかる。<br />
　前に居たところに比べて此処はいろいろなものが活発に動いている気配がしていた。<br />
　ゆっくりと身体を起こす。<br />
　壁の一つは大きく窓が取られ、外の鮮やかな青空が見渡せる。<br />
　それをぼんやりと眺めて、体重をかけた際に走った痛みに僅かに顔を顰めた。<br />
　白い包帯はいたる所に巻いてあったが、最初に比べると痛みは殆ど引いていた。<br />
　困惑したように腕の包帯を見下ろし、ベッドから滑り降りる。<br />
　扉に視線を向けたところで、それが音も無く開いた。<br />
　紫がかった黒髪を風に靡かせながら、セイラスが部屋に入ってくる。<br />
「……寝ていろと言ったはずだが」<br />
　ベッドの脇に佇んでいるルシェイドを一瞥して、セイラスが低く言う。<br />
　ルシェイドは困ったように首を傾げた。<br />
「もう、平気」<br />
　言って、セイラスの傍まで歩いてみせる。<br />
　眉間にしわを寄せたその表情が苛立たしげに見えて、ルシェイドは不安そうに彼を見上げた。<br />
　セイラスは溜め息をつくと、ルシェイドと視線を合わせた。<br />
「歩けるのか」<br />
　問われて、反射的に頷く。<br />
「わかった。そんなに寝ているのが嫌ならついて来い」<br />
　言い放つと踵を返し、部屋を後にする。<br />
　ルシェイドは慌てて彼を追って部屋を出た。<br />
　身長はセイラスの胸の辺りまでしかない。<br />
　ぶつからないように気をつけて、セイラスの横を歩く。<br />
　半ば小走りになっているのに気づいたのか、セイラスが何も言わず歩調を緩めた。<br />
<br />
　まともに廊下を歩いたのはこれが初めてだ。<br />
　前回はセイラスに担がれていたし、意識もあまりはっきりしていなかったので記憶に無かった。<br />
　見たところ建物自体がロの字型をしていて、中央が庭園になっているようだった。<br />
　庭に面した方は壁ではなく柱が林立している。<br />
　そのおかげで廊下は光が溢れていた。<br />
　思わず見とれていると、ついてこないのに気づいたのかセイラスが立ち止まって振り返った。<br />
　さっさと来いと怒られるかと思ったが、彼は特に何も言わず、ルシェイドが追いつくのを待っていてくれた。<br />
　追いついたところで、賑やかな声が聞こえて視線をまた中庭に向ける。<br />
　そこにはリィーナがいた。<br />
　周りにいるのはリィーナよりさらに背の低い、少年たちだ。<br />
　彼女が空中に手を翳すとそこから炎が生まれ、少年たちの間を飛びまわる。<br />
　興味深そうに凝視したままのルシェイドを見て、セイラスは中庭に向けて声を上げた。<br />
「リィーナ！」<br />
　彼女はその声に振り向くと少年たちに何か言い、セイラスたちの方に駆けてきた。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>逆凪</name>
        </author>
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    <published>2012-10-19T15:07:54+09:00</published> 
    <updated>2012-10-19T15:07:54+09:00</updated> 
    <category term="[長編]　Reparationem damni" label="[長編]　Reparationem damni" />
    <title>第二章　第二話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　階段の上に、更に人影が入ってきたところだった。<br />
「何をしているの？」<br />
　聞えた声は今まで聞いたことのない声だった。<br />
「リィーナ」<br />
　セイラスが呟く。<br />
　足音を立てて降りてくる彼女は、裾の長いローブを纏い、手に長い杖を持っていた。<br />
「……大丈夫？」<br />
「……ッ！」<br />
　そっと、リィーナが頬に手を触れると、バチッと衝撃が走った。<br />
　彼女は驚いたように目を見開くと、おもむろに杖で床を叩き、低く何かを呟いた。<br />
　途端、周囲を風が舞った。<br />
　セイラスが心持ち眉をひそめる。<br />
　気持ちの悪さが少し減ったような気がして、ルシェイドは改めてリィーナに視線を合わせた。<br />
「少しは楽になった？」<br />
　こくり、と頷くとリィーナが微笑む。<br />
「どういうことだ？」<br />
　怪訝そうにセイラスが問う。<br />
「感受性が強いようだから、魔法の気にあてられたのね。最近は相手も魔法師を投入したみたいだから、中和させないと辛いわよ」<br />
「今までは大丈夫だったようだが？」<br />
「本人にもよるのよ。魔法の素質があるようだし」<br />
　そう言ってリィーナが片目を瞑って笑った。<br />
「それで、こんな所で何してるの？」<br />
　首をかしげて問われ、更にセイラスからも視線で促されてルシェイドが答えを探す。<br />
「……気持ちが、悪かったから、風のあるほうに……」<br />
「なら、もうあの部屋じゃないほうが良いわね。ルヴィアに言ってくるわ。あとよろしくね、セイラス」<br />
　さらりと言って踵を返し、階段を上がっていく。<br />
　ルシェイドは訳が分からず、答えを求めてセイラスを見上げた。<br />
　苦虫を噛み潰したような顔で、セイラスは返事をせずにルシェイドを抱えあげた。<br />
　驚きに身を強張らせると、ぼそりと呟かれた。<br />
「部屋を変える」<br />
　どうやらこの状態で運ばれるらしい。<br />
「……歩ける」<br />
「大人しくしてろ」<br />
　小声で抗議するも、一蹴されてしまう。<br />
　仕方なく、そのまま運ばれた。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>逆凪</name>
        </author>
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    <published>2012-09-07T12:27:26+09:00</published> 
    <updated>2012-09-07T12:27:26+09:00</updated> 
    <category term="[長編]　Reparationem damni" label="[長編]　Reparationem damni" />
    <title>第二章　第一話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　扉を開くと、そこには見慣れた姿があった。<br />
　漆黒の髪。<br />
　滑らかな肢体をドレスに包んだ彼女は、入ってきたルヴィアに気付くと椅子から立ち上がった。<br />
「セレイア。何かあったのか？」<br />
　呼びかけると、彼女は深刻な顔をして告げた。<br />
「西の境に配置しておいた兵のところで、小規模の戦闘が2度起きたと報告が来てるわ」<br />
「2度？　この間の報告から3日経ってないぞ」<br />
　驚愕の声をあげつつ、セレイアが差し出した報告書に目を通す。<br />
　戦闘の規模、動員した兵の数、損傷程度、その他諸々が書いてある。<br />
「……」<br />
　被害の欄を見て、表情を険しくする。<br />
　例え小規模の戦闘だったとしても、被害は大きい。<br />
「……全兵数の、約半分か」<br />
「治療者の数が足りないの。……この状態で更に戦闘を続けさせるなら、全滅することも考えないといけないでしょう」<br />
「だけど、撤退するわけにはいかない」<br />
　強い意志をこめて断言する。<br />
　例え勝ち目が薄くても。<br />
「分かってるわ。けれど、最悪の状態も常に考えておかないといけないのよ」<br />
　セレイアが諭すように首を振る。<br />
　一つ頷くと、ルヴィアは窓の外に視線を向けた。<br />
　そこには、戦争とはかけ離れたのどかな風景が広がっていた。<br />
<br />
<br />
<br />
　気持ちが悪い。<br />
<br />
　軽い吐き気と、身体の倦怠感で意識が目覚める。<br />
　胃の辺りが重い。<br />
　寝ていられなくて身を起こすと、眩暈に襲われた。<br />
　深呼吸をして掛け布をどかす。<br />
　ひんやりとした石の床に足を下ろすと、少し気分が良くなった気がした。<br />
　まだ少し痛む身体を引きずって、扉まで歩く。<br />
　前回よりは息が切れていない。<br />
　扉を開ける。<br />
　そこは部屋と同じような石でできた廊下だった。<br />
　頬に少し冷たい風が当たる。<br />
　何処から風が入ってくるのか、それは外の匂いがした。<br />
　風の吹くほうに足を向けた。<br />
　廊下の所々には、蝋燭が灯っているので躓く心配がなさそうだ。<br />
　少し歩くと、階段が見えた。<br />
　だいぶ息が切れていたのでそこで少し休む。<br />
<br />
「……ルシェイド？」<br />
<br />
　声はいきなり振ってきたように感じた。<br />
　見上げると、明かりを背にして誰かが立っていた。<br />
　逆光で顔は見えない。<br />
　けれど声で判断はついた。<br />
「……セイラス？」<br />
「何をやっている。こんな所で」<br />
　怪訝そうな声には心配も含まれているようだ。<br />
　体重を感じさせない猫の様な動きで近くまで下りてくると、傍らに膝をついた。<br />
「寝ていろと、言っただろう」<br />
　手を差し出し、抱えていこうとするのを拒否し、ルシェイドは首を振った。<br />
「何故だ？」<br />
　問う声は感情があまり入っていない分、冷徹に響いた。<br />
　怯えたように更に首を振るルシェイドを見て、セイラスはため息をついた。<br />
「……理由が、あるのか？」<br />
　上手い言い方が見つからなかったらしく、先程と同様の質問を繰り返す。<br />
　けれど理由が上手く説明できず、ただもう一度首を振った。<br />
　気持ちの悪さはかなり酷くなっている。<br />
　座っているだけなのに息は切れ、手足が細かく震えている。<br />
　さぞ、具合が悪く見えるだろうと何処か客観的に見ていると、頭上で靴音がした。]]> 
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            <name>逆凪</name>
        </author>
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    <published>2012-07-25T16:47:16+09:00</published> 
    <updated>2012-07-25T16:47:16+09:00</updated> 
    <category term="[長編]　Reparationem damni" label="[長編]　Reparationem damni" />
    <title>第一章　第六話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　そこまで考えたところで扉が開いた。<br />
　セイラスは、何かの紙を持って戻ってきた。<br />
　何も言わずに寝台の上に広げる。<br />
　それはどうやら地図のようだった。<br />
　真ん中と、左右に大陸があって、小さな島がいくつかあるようだ。<br />
「見たことは？」<br />
　返事は否。<br />
「地理は、分かるか？」<br />
　もう一度同じ答え。<br />
　セイラスは特に表情を変えずに地図の一点を指した。<br />
　それは真ん中の大陸の、中心よりやや右下の位置だった。<br />
「此処が、今居る場所。王都ロスウェル」<br />
「……王都？」<br />
「今、この現界を治める王が居る都だ」<br />
　きっぱりと断言する声は、少し誇らしげな響きがあった。<br />
　相変わらず表情はあまり変わらなかったが。<br />
「大陸は、昔は4つあったらしいが、今は3つだ。ユーディリス大陸と、トゥーディス大陸、ヴァイサーシアー大陸」<br />
　左、右、真ん中の順で指差す。<br />
　聞き覚えがあるような気がする。<br />
　実際に行った事があるのかもしれない。<br />
「4つ目の大陸は、何処にあったの？」<br />
　不意に聞くと、セイラスは少し考えて、地図の上を指した。<br />
「この辺りにあったと聞く。今はもう地図も残っていないから、名前も一部にしか伝わっていない」<br />
　ヴァイサーシアー大陸の、上。<br />
　地図から消された島。<br />
「レイヴァント大陸、という名前だったそうだ」<br />
　どくん、と一瞬心臓が大きく脈打った。<br />
　知らない場所のはずだ。<br />
　古い大陸だから。<br />
　なのに何故。<br />
　こんなにも懐かしい気がするのだろう。<br />
「……講義はこれまでにしよう。これは此処に置いておくから、後で見るといい。今はまた暫く眠れ」<br />
　寝台に開かれた地図を畳むと、枕もとの机に置く。<br />
「眠くない」<br />
「駄目だ。寝転がっているだけでも、体力は回復する。……焦らなくて良い」<br />
　肩を押されて寝台に寝ながら、少し不満そうに地図に目をやる。<br />
「また次に、教えてやる」<br />
　不承不承、といった感じで素直に布団を肩まで上げ、目を閉じる。<br />
　衣擦れの音がして、扉が開閉する音が聞えた。<br />
　眠気は暫くして訪れた。]]> 
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            <name>逆凪</name>
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    <published>2012-07-25T16:45:38+09:00</published> 
    <updated>2012-07-25T16:45:38+09:00</updated> 
    <category term="[長編]　Reparationem damni" label="[長編]　Reparationem damni" />
    <title>第一章　第五話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　言いかけたところで扉が開いた。<br />
　足音は聞えなかった。<br />
　戸を叩く音もなかった。<br />
　それは突然開かれた。<br />
　ふたりは扉に目を向けた。<br />
　入ってきたのは最初に出会った青年だ。<br />
　紫がかった黒髪と、紫闇の瞳。<br />
　ルヴィアは立ち上がって近づく。<br />
　青年はルヴィアに視線を合わせ、唐突に口を開いた。<br />
「セレイアが呼んでいる」<br />
「わかった。……この子はルシェイド。こいつはセイラスだ。無理はさせるなよ」<br />
　簡単に名前だけ紹介して、ルヴィアは書類を手に部屋を出て行った。<br />
　去り際に釘を刺され、肩をすくめながらセイラスが来る。<br />
　ルヴィアが座っていた椅子に腰掛けると、暫くの逡巡の後に口を開いた。<br />
「……ルシェイドと、いうのか」<br />
　確かめるように言われ、反射的に頷いた後に首をかしげた。<br />
「……多分……」<br />
「……？」<br />
　訝しげな顔。<br />
「何処から来たのか言えるか？」<br />
　問いに首を左右に振る。<br />
「ならば此処が何処だか分かるか？」<br />
　もう一度首を振る。<br />
　何もかも分からない。<br />
　全ては闇の中。<br />
　ただ、正さなければならないという想いが強い。<br />
　何を正すのか、どうすれば良いのか。<br />
　そういうものは何一つわからないのだけれど。<br />
「記憶がないのか……｣<br />
　顎に手を当てて考え込むと、不意に立ち上がる。<br />
「少し待て」<br />
　言い捨てて出て行ってしまう。<br />
　止める間もない。<br />
　止めたところで何を言えば良いのか分からなかったけど。<br />
　どうして記憶がないのだろうと考えてみても、答えは出なかったし、何も思い出せなかった。<br />
　最初の記憶は暗い部屋。<br />
　と、不意に思い出した。<br />
　暗闇の中、響いていた声を。<br />
　ルヴィアの声ではない。<br />
　セイラスの声でもない。<br />
　一度だけ顔を見た、女性の声でもない。<br />
　見た覚えのない、聞き覚えのある声。<br />
　何と言っていたか。<br />
　とてもとても強く、唯一つを願う声だった。<br />
　最後に叫んだ、『彼女』の名前は――。]]> 
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            <name>逆凪</name>
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    <published>2012-07-24T15:06:03+09:00</published> 
    <updated>2012-07-24T15:06:03+09:00</updated> 
    <category term="[長編]　Reparationem damni" label="[長編]　Reparationem damni" />
    <title>第一章　第四話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　次に目が覚めたとき、外は明るいようだった。<br />
　時間の感覚はすでに無い。<br />
　そこでふと、時間の数え方に疑問を持つ。<br />
<br />
　そもそも、此処はどこだろう。<br />
<br />
　疑問符に埋められた頭で周りを見ると、寝台の足元に近い所に青年がいた。<br />
　稲穂の様な金の髪は流れるように肩に落ち、紺色の衣服の上に光を落としている。<br />
　手には何かの書類。<br />
　真剣な表情で字面を追っている。<br />
　身を起こすと、彼はこちらに気付き、手に持った書類もそのままに立ち上がった。<br />
「やぁ、起きた？　と、まだ無理はしないほうが良い」<br />
　鈍く痛む胸に顔を顰めた途端、青年は気遣わしげに顔を歪めた。<br />
　問うように顔を向けると、手に持った書類を枕もとの机に置く。<br />
「私の名前はルヴィア。君は北の草原で倒れている所を見つけてきたんだよ。……君の、名前は？」<br />
「……ッ」<br />
　名前。<br />
　頭が一瞬空白になった。<br />
　思い出せないことはないはずなのに。<br />
　あるはずだ。<br />
　自分の、名前が。<br />
「……ルシェイド」<br />
　ぽつりと。<br />
　浮かんだ名前を、特に何も考えずに呟く。<br />
　声は初めて出したかのようにかすれていた。<br />
　子供のような少し高めの声。<br />
　ルヴィアはそれを聞いて笑んだ。<br />
「そうか。ルシェイドは、どうして草原で倒れていたんだ？　見つけたとき、酷い怪我をしていたよ」<br />
「……怪我？」<br />
　首をかしげると、ルヴィアは手を伸ばし、ルシェイドの手を取った。<br />
　その手には白い包帯が巻かれていた。<br />
　だから随分体が痛かったのかと、思う。<br />
「……覚えてない？」<br />
　怪訝そうにルヴィアが聞く。<br />
　覚えていない。<br />
　最初の記憶は暗いこの部屋だったから。<br />
「此処、は？」<br />
　ルシェイドが聞くと、ルヴィアは首をかしげた。<br />
　訝しげな表情。<br />
「……此処は」]]> 
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            <name>逆凪</name>
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    <published>2012-07-18T17:34:32+09:00</published> 
    <updated>2012-07-18T17:34:32+09:00</updated> 
    <category term="[長編]　Reparationem damni" label="[長編]　Reparationem damni" />
    <title>第一章　第三話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　次に目が覚めたときは、前よりももっと意識がはっきりしていた。<br />
　体はまだ痛かったが、起き上がれない程ではなくなっていた。<br />
　まだ冷たさの残る布を額から取り、寝台から起き上がる。<br />
　窓から見える空は暗い。<br />
　床に下ろした足は裸足で、石は思ったよりも冷たかった。<br />
　痛みと、重く感じる体を引きずって扉までたどり着く。<br />
<br />
　短い距離。<br />
　ほんの十歩位だ。<br />
　なのに息が上がっている。<br />
　扉のところで僅かに呼吸を整えて、扉を押し開けた。<br />
<br />
「……！」<br />
　目の前に青年がいた。<br />
　片手に燭台を持っている。<br />
　揺れる炎に照らされた顔は驚きと怪訝そうな表情をしていた。<br />
　間近に見ると整った造作をしているのがわかった。<br />
　印象的には鋭利な刃物のようだけれど。<br />
<br />
　一歩を踏み出そうとしてバランスを崩す。<br />
　倒れる、と思った次の瞬間には、青年の腕に抱きとめられていた。<br />
　そのまま抱え上げられ、寝台まで戻される。<br />
　布団をかけられ、また元のように寝かされた。<br />
「まだ無理だ。寝ていろ」<br />
　囁く様な声音。<br />
　何か答えようと口を開け、言葉が何も出ないまままた眠りに落ちた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「……彼は？」<br />
　蝋燭の明かりだけの暗い廊下で、彼は小さく尋ねた。<br />
「起きてきたから、寝かせた」<br />
「……起きてきた？　寝台から？」<br />
　淡々とした答えに、問う声は驚きの色を混ぜて問いを重ねる。<br />
　肯定の意味でうなずき、問われた青年は次の言葉を待つ。<br />
<br />
　彼はしばらく考えておもむろに髪をかきあげた。<br />
「わかった。とりあえずお前は休めよ。ここしばらくまともに休んでないだろ」<br />
　苦笑しながら言われた言葉に、青年は困惑して首をかしげた。<br />
「ルヴィア、だが、此処の……」<br />
「駄目だ」<br />
　きっぱりと、反論を許さぬ口調で告げる。<br />
「お前が倒れたら、元も子もないだろ。セイラス」<br />
　セイラスと呼ばれた青年は唇を噛み締めて俯き、それを少し困ったような顔でルヴィアが見ている。<br />
　僅かな逡巡の後、セイラスは詰めていた息とともに言葉を吐き出した。<br />
「……わかった。言うとおりにしよう」<br />
「あぁ。ちゃんと休めよ」<br />
「わかってる」<br />
　二人は言い合い別れ、後には静寂が残った。]]> 
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            <name>逆凪</name>
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    <published>2012-07-09T13:41:31+09:00</published> 
    <updated>2012-07-09T13:41:31+09:00</updated> 
    <category term="[長編]　Reparationem damni" label="[長編]　Reparationem damni" />
    <title>第一章　第二話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　瞼に光が踊る。<br />
　眩しい。<br />
　先程と違って廻りは酷く明るかった。<br />
　ぼんやりと天井を見ていると、段々頭が冴えてくる。<br />
<br />
　ふと、先程の人は誰だろうと思った。<br />
　低い声と、ぼんやりと見えた手から男性であることは判ったが、それ以上は判然としなかった。<br />
　視線を巡らせると、扉の横に置いた椅子に座っている人がいた。<br />
　硬く目を閉じて腕組みをしている。<br />
　寝ているのかもしれない。<br />
　そのままじっと見ていたら唐突に目を開いた。<br />
　切れ長の、紫闇の瞳。<br />
　彼はこちらに視線を向けると、重さを感じさせない動作で立ち上がった。<br />
　猫のようなしなやかさ。<br />
　伸ばされた手。<br />
　それを見て、ああ、さっきの人だ、とぼんやりと思った。<br />
　腰に剣を刷いていることから、剣士だと思う。<br />
　問いを発しようとして、身体の傷みに声を失う。<br />
「無理はするな。……あれだけの傷。今生きているのが不思議なくらいだ」<br />
　彼は表情の読めない顔で首筋に手を当てた。<br />
　乾いた、暖かい手だった。<br />
　手を離し、こちらの顔を一瞥して部屋を出て行く。<br />
<br />
　部屋にひとり残され、じっとしているのも居心地が悪かったので起き上がろうとするが、手足は鉛のように重い。<br />
　身体のあちこちでは鈍い痛みが感じられた。<br />
　起き上がろうとして、止めた。<br />
　今起き上がっても立ち上がれるかどうかわからない。<br />
　そんな危険を冒す意味はあまり無いだろう。<br />
　ひとつ息を吐いて天井を見つめているとまた眠気が襲ってきた。<br />
　随分眠っていたように思うのに、まだ寝たりないのかととりとめも無く考えていると、外で足音が聞こえた気がした。<br />
　程なくして扉が開く。<br />
　入ってきたのは女性だった。<br />
　身に纏うのは薄い色合いの服。<br />
　ドレスに似ている。<br />
　腰よりさらに長い黒髪を靡かせて、彼女はこちらに歩いてきた。<br />
　後ろには先程出て行った青年が居る。<br />
「目が覚めたのね。気分はどう？」<br />
　鈴の音のような。<br />
　きれいな声だ、とぼんやり思う。<br />
「まだ眠いのかしら。……そうね、まだ眠っていた方が良いわ。安心して、ゆっくりお休みなさい」<br />
　彼女は優しく笑いかけると、青年を促して部屋を出て行った。<br />
　誰も居なくなった部屋で、意味もなくまた部屋を見回しながら、意識を手放していく。<br />
　闇の中は、誰の声も聞こえなかった。]]> 
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            <name>逆凪</name>
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