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2012/10/19 (Fri)
 階段の上に、更に人影が入ってきたところだった。
「何をしているの?」
 聞えた声は今まで聞いたことのない声だった。
「リィーナ」
 セイラスが呟く。
 足音を立てて降りてくる彼女は、裾の長いローブを纏い、手に長い杖を持っていた。
「……大丈夫?」
「……ッ!」
 そっと、リィーナが頬に手を触れると、バチッと衝撃が走った。
 彼女は驚いたように目を見開くと、おもむろに杖で床を叩き、低く何かを呟いた。
 途端、周囲を風が舞った。
 セイラスが心持ち眉をひそめる。
 気持ちの悪さが少し減ったような気がして、ルシェイドは改めてリィーナに視線を合わせた。
「少しは楽になった?」
 こくり、と頷くとリィーナが微笑む。
「どういうことだ?」
 怪訝そうにセイラスが問う。
「感受性が強いようだから、魔法の気にあてられたのね。最近は相手も魔法師を投入したみたいだから、中和させないと辛いわよ」
「今までは大丈夫だったようだが?」
「本人にもよるのよ。魔法の素質があるようだし」
 そう言ってリィーナが片目を瞑って笑った。
「それで、こんな所で何してるの?」
 首をかしげて問われ、更にセイラスからも視線で促されてルシェイドが答えを探す。
「……気持ちが、悪かったから、風のあるほうに……」
「なら、もうあの部屋じゃないほうが良いわね。ルヴィアに言ってくるわ。あとよろしくね、セイラス」
 さらりと言って踵を返し、階段を上がっていく。
 ルシェイドは訳が分からず、答えを求めてセイラスを見上げた。
 苦虫を噛み潰したような顔で、セイラスは返事をせずにルシェイドを抱えあげた。
 驚きに身を強張らせると、ぼそりと呟かれた。
「部屋を変える」
 どうやらこの状態で運ばれるらしい。
「……歩ける」
「大人しくしてろ」
 小声で抗議するも、一蹴されてしまう。
 仕方なく、そのまま運ばれた。
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