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2012/02/03 (Fri)
 世界はいくつか存在していた。

 知識と知っていても。
 実際行った事も見た事も無かったけれど。

 彼がいたのはそのうちのひとつ。
 そこは光に満ちた場所。
 争いも無く穏やかに。
 そして緩やかに時の進む場所。
 神を中心に秩序の整った、そこは天界と呼ばれていた。
 血と肉をそなえ、仮初の箱庭で人間の生と死を運営するのは、大きな羽根をもった天使だった。
 純白の羽根はわずかに光を放ち、周囲を照らし出す。
 穏やかなそこはずっとそのままでいるはずだった。

 異変を感じ取ったのはほんのわずかだった。
 その日はいつもと変わらない一日で。
 私は気づかなかった。
 そして知らなかった。
 何が、起きていたのか。
 何が起きようとしていたのか。

 そう、あの日、神の御前に呼び出されるまでは。
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