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2012/02/03 (Fri)
「呼び出しに応じ、参上いたしました」

 荘厳な扉を開けて、中に入る。
 目に痛い白の色。
 視線を落としながら前に進み、玉座の前で膝をつく。
「本日の呼び出しは……」

「お前がそうか」

 なぜ呼び出そうとしたのか聞こうとしたところで、その言葉は遮られた。
 落ちてきた言葉。
 神の声ではない。
 低く耳に残る声。
 不審に思ったが、一介の天使であるこの身で、顔をあげることが出来ようはずも無い。
「顔を上げろ」
 またも声が響く。
「聞こえねぇのかよ」
 どこかうんざりしたような響きで、声が言う。
 頑なに頭を下げた状態でいるその視界に、誰かの靴が映った。
 擦り切れた布地。

「おい」
「私は神に従います」
 小声で、けれどきっぱりと拒絶を示す。
「強情だな。……おい、何とかしてくれ」
『……アルファル、顔を上げなさい』
 呆れた声に従い響いたのは神の声。
 何の感情も込めず、それはただ淡々と響く。
 渋々、顔を上げる。
『立ちなさい。頭をたれる必要は無い』
 続けて言われ、速やかに立ち上がった。
「……お前らって、あいつの言うことだけは聞くんだよな……」
 視線を、そちらにやる。
 立っていたのは金髪の、男だった。
 羽根も無く、旅装束のようにマントを着ている。
 目の色は、金の色。
 意志の強そうな目だと、思った。
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