小説用倉庫。
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外に出ると少し離れたところにルシェイドがいた。
視線が合うと、そのまま何も言わずに背を向けて歩き出す。
とりあえず後をついて行く。
辿り着いたのは山の麓。
ここからは町も少ししか見えない。
「何か、用があるんだろ?」
「本当は、用があるのは僕じゃないんだけど」
言いよどむのは何故だろう。
口をつぐんでいたのはほんの少し。
「ロウが……。君に」
「聞きたくない」
少し強い調子で遮ると、驚いたようにルシェイドが息を呑む。
「……用がそれなら、ついてくるんじゃなかったな……」
ひとりごちると、ルシェイドに向かって強く言う。
「その話なら、二度とするな」
くるりときびすを返す。
ふと見慣れた姿を認めて足を止める。
首を傾げながら、立っていたのは踏青だった。
「……深刻な話か?」
「……なんで、お前がいるんだよ。樹雨はどうした」
いらいらと言うと、面食らったのか踏青が一歩下がった。
「ロウは弟だろう」
「黙れ!」
ルシェイドの言葉を怒鳴って止める。
「……弟?」
「関係ないだろ」
舌打ちとともに言い捨てる。
「君に会いたがっていたよ」
町に向かって歩き出した足を止めたのは、ルシェイドの声だった。
陰惨な顔つきになっているであろうことを自覚しながら、後ろを振り返る。
「私は会いたくない」
「しかし……」
「お前に何がわかるっていうんだ」
言いかけたルシェイドを遮る。
声は怒りに震えているのに、頭のどこかが妙に冷静なのがおかしかった。
「私はあいつには会いたくない。……二度と!」
一言一言、言い聞かせるように話す。
視線が合うと、そのまま何も言わずに背を向けて歩き出す。
とりあえず後をついて行く。
辿り着いたのは山の麓。
ここからは町も少ししか見えない。
「何か、用があるんだろ?」
「本当は、用があるのは僕じゃないんだけど」
言いよどむのは何故だろう。
口をつぐんでいたのはほんの少し。
「ロウが……。君に」
「聞きたくない」
少し強い調子で遮ると、驚いたようにルシェイドが息を呑む。
「……用がそれなら、ついてくるんじゃなかったな……」
ひとりごちると、ルシェイドに向かって強く言う。
「その話なら、二度とするな」
くるりときびすを返す。
ふと見慣れた姿を認めて足を止める。
首を傾げながら、立っていたのは踏青だった。
「……深刻な話か?」
「……なんで、お前がいるんだよ。樹雨はどうした」
いらいらと言うと、面食らったのか踏青が一歩下がった。
「ロウは弟だろう」
「黙れ!」
ルシェイドの言葉を怒鳴って止める。
「……弟?」
「関係ないだろ」
舌打ちとともに言い捨てる。
「君に会いたがっていたよ」
町に向かって歩き出した足を止めたのは、ルシェイドの声だった。
陰惨な顔つきになっているであろうことを自覚しながら、後ろを振り返る。
「私は会いたくない」
「しかし……」
「お前に何がわかるっていうんだ」
言いかけたルシェイドを遮る。
声は怒りに震えているのに、頭のどこかが妙に冷静なのがおかしかった。
「私はあいつには会いたくない。……二度と!」
一言一言、言い聞かせるように話す。
「あそこが……あの後どうなったのか、知らないのか?」
咎めるような口調。
「知らない。知りたくもないし、関係ないね」
「本当に、それでいいのか?」
「くどい」
「……なぁ、何なんだ?」
怪訝そうな声で踏青が口を挟む。
苛立たしげにそちらを睨むと、彼は少し怯んだようだった。
「お前には関係ないと言ったはずだぞ、踏青」
「だけど……!」
皆まで聞かずに歩き出す。
「エル!」
叫んだルシェイドの頬が切れた。
振り向きざまに放った飛刀。
それは見事に牽制の効果をもたらしたようだ。
「貴様も黙れ」
「何故そんなに頑なになるんだ?」
「頑な? ……何がだ?」
ほぼ完璧に踏青を無視し、ルシェイドに向き直る。
「ここにいることか? 名前を捨てて、過去から遠ざかっていることか」
「頑なではないというなら、何故ロウに会いに行かないんだ」
「会ってどうするっていうんだ。会って、あいつと殺しあえば、お前は満足なのか?」
踏青が驚きに息を呑むのがわかる。
「こ、殺しあうって……お前……!」
「そんなところで何やってるんだい」
唐突に、第三者の声がした。
気づかなかったのか、ルシェイドも驚いた顔をしていた。
「冬杣……」
「私は別に放っておけと言ったんだがね。ここは目立つんだよ。薄氷」
ニヤリと笑う彼女の後ろ、少し離れたところに高西風が立っていた。
「……お前かよ」
苦虫を噛み潰したような顔で呟くと、冬杣が高西風を振り返った。
「彼は五感が優れているんだよ。知らなかった……わけないだろう?」
知っていた。
昔、聞いたことがあったから。
冬杣はルシェイドの方に顔を向けると、親しげに声をかけた。
「久しぶりだね、ルシェイド」
ルシェイドはしばらくして、目を見開いた。
「君は……あの時の……」
「『妹』も、まだいるよ」
「そうか……」
ふたりで納得している。
小さく舌打ちすると、冬杣の横を通ってルシェイドから遠ざかる。
「エル! 話はまだ終わっていない!」
ルシェイドが叫ぶが、右手を上げただけでその場を離れた。
「待て……」
「話なら、他でもできるだろう? ルシェイド」
「だけど……」
「あいつは頑固なんだ。まぁ立ち話もなんだろう。薄氷の行く所に案内してあげるよ。昔馴染みのよしみでね」
遠ざかっていく声を聞くともなしに聞いてから、冬杣にはかないそうもないなとふと思う。
けれどそのまま従うのも癪なので、少し寄り道をすることにした。
咎めるような口調。
「知らない。知りたくもないし、関係ないね」
「本当に、それでいいのか?」
「くどい」
「……なぁ、何なんだ?」
怪訝そうな声で踏青が口を挟む。
苛立たしげにそちらを睨むと、彼は少し怯んだようだった。
「お前には関係ないと言ったはずだぞ、踏青」
「だけど……!」
皆まで聞かずに歩き出す。
「エル!」
叫んだルシェイドの頬が切れた。
振り向きざまに放った飛刀。
それは見事に牽制の効果をもたらしたようだ。
「貴様も黙れ」
「何故そんなに頑なになるんだ?」
「頑な? ……何がだ?」
ほぼ完璧に踏青を無視し、ルシェイドに向き直る。
「ここにいることか? 名前を捨てて、過去から遠ざかっていることか」
「頑なではないというなら、何故ロウに会いに行かないんだ」
「会ってどうするっていうんだ。会って、あいつと殺しあえば、お前は満足なのか?」
踏青が驚きに息を呑むのがわかる。
「こ、殺しあうって……お前……!」
「そんなところで何やってるんだい」
唐突に、第三者の声がした。
気づかなかったのか、ルシェイドも驚いた顔をしていた。
「冬杣……」
「私は別に放っておけと言ったんだがね。ここは目立つんだよ。薄氷」
ニヤリと笑う彼女の後ろ、少し離れたところに高西風が立っていた。
「……お前かよ」
苦虫を噛み潰したような顔で呟くと、冬杣が高西風を振り返った。
「彼は五感が優れているんだよ。知らなかった……わけないだろう?」
知っていた。
昔、聞いたことがあったから。
冬杣はルシェイドの方に顔を向けると、親しげに声をかけた。
「久しぶりだね、ルシェイド」
ルシェイドはしばらくして、目を見開いた。
「君は……あの時の……」
「『妹』も、まだいるよ」
「そうか……」
ふたりで納得している。
小さく舌打ちすると、冬杣の横を通ってルシェイドから遠ざかる。
「エル! 話はまだ終わっていない!」
ルシェイドが叫ぶが、右手を上げただけでその場を離れた。
「待て……」
「話なら、他でもできるだろう? ルシェイド」
「だけど……」
「あいつは頑固なんだ。まぁ立ち話もなんだろう。薄氷の行く所に案内してあげるよ。昔馴染みのよしみでね」
遠ざかっていく声を聞くともなしに聞いてから、冬杣にはかないそうもないなとふと思う。
けれどそのまま従うのも癪なので、少し寄り道をすることにした。
辿り着いたのは浜辺。
この島で唯一、砂浜があるところ。
新しく試したい毒の、材料となるものが確かこの辺にあったはずだ。
幻魅華。
見た目は鮮やかな赤い花。
食したり、臭いを嗅いだりすることによって幻覚症状をもたらすことのできる草だ。
使い方を誤まれば大変なことになるだろう。
考えながら歩いていると、浜辺の途切れているところが少し崖のようになっていて、そこに生えていた。
あまり多く生えるものでもないので少量にしておく。
匂いを嗅いでしまうのを防ぐために、布に包む。
手折った時に、匂いが出てくる花なのだ。
黙々とその作業をしていると、昔の事を思い出してしまう。
(あんなやつが来るからだ)
苦々しく思う。
高西風にしても、ルシェイドにしても。
ふたりとも違うことを言うから。
『兄上は興味ないんでしょう? だったら、消えてくれませんか?』
過去。
笑って言われた。
それまでは仲が良かった。良かったはずだ。
兄上、兄上と慕ってくれて、よくふたりで遊んだ。
そんな弟が愛しかった。
あの時までは。
あの、雨の日。
すべてが壊れた。
そこまで考えて、頭を強く左右に振る。
関係ない。
今の自分には、もう。
草の入った袋をきつく握り締め、自分の部屋に戻るために歩き出した。
この島で唯一、砂浜があるところ。
新しく試したい毒の、材料となるものが確かこの辺にあったはずだ。
幻魅華。
見た目は鮮やかな赤い花。
食したり、臭いを嗅いだりすることによって幻覚症状をもたらすことのできる草だ。
使い方を誤まれば大変なことになるだろう。
考えながら歩いていると、浜辺の途切れているところが少し崖のようになっていて、そこに生えていた。
あまり多く生えるものでもないので少量にしておく。
匂いを嗅いでしまうのを防ぐために、布に包む。
手折った時に、匂いが出てくる花なのだ。
黙々とその作業をしていると、昔の事を思い出してしまう。
(あんなやつが来るからだ)
苦々しく思う。
高西風にしても、ルシェイドにしても。
ふたりとも違うことを言うから。
『兄上は興味ないんでしょう? だったら、消えてくれませんか?』
過去。
笑って言われた。
それまでは仲が良かった。良かったはずだ。
兄上、兄上と慕ってくれて、よくふたりで遊んだ。
そんな弟が愛しかった。
あの時までは。
あの、雨の日。
すべてが壊れた。
そこまで考えて、頭を強く左右に振る。
関係ない。
今の自分には、もう。
草の入った袋をきつく握り締め、自分の部屋に戻るために歩き出した。
「おや、遅かったね」
家に入ると冬杣がお茶を飲んでいた。
他にも3人。
「……冬杣、それ、私の茶じゃないのか……?」
何とか脱力感を阻止しながらたずねる。
「そうだよ。帰ってこないからね。勝手に拝借しておいた」
さらりと言ってのける。
あぁやはり彼女には適いそうも無い。
嘆息しつつ、そんなことを思う。
「あ、おまえ、今度は何を持ってきたんだ!?」
踏青が目ざとくこちらの右手に持っているものを見つけて叫ぶ。
ニヤリと笑うと、踏青に向かって袋を振る。
「今度の毒の原材料」
「わーッ!! やめてくれよッ! 新しい毒つくんな-!!」
慌てて立ち上がってこちらに手を伸ばす彼をひょいと避けて、一番奥の空いている椅子に座る。
「……で、諦めてくれないか?」
横で騒ぐ踏青を放って、ルシェイドに話し掛ける。
「……でも、彼は肉親だろう」
「嫌われているがね」
溜息をついて背もたれに深く背を預ける。
高西風はロウの依頼で殺しにきた。
ルシェイドはロウの依頼で、彼に会えと言う。
この場合どちらを信用すべきか。
「……高西風、お前依頼受けたのいつだっけ?」
「この間だよ。えっと、1週間前くらい」
「ルシェイドは?」
「3日くらい」
「どう思う?」
全員の顔を順番に見る。
何考えてるのかわからないのは冬杣。
話しについていけず、さっきの焦りもどこかへやっているのは踏青。
高西風は首を傾げたままで。
ルシェイドは俯いて考え込んでいるようだ。
家に入ると冬杣がお茶を飲んでいた。
他にも3人。
「……冬杣、それ、私の茶じゃないのか……?」
何とか脱力感を阻止しながらたずねる。
「そうだよ。帰ってこないからね。勝手に拝借しておいた」
さらりと言ってのける。
あぁやはり彼女には適いそうも無い。
嘆息しつつ、そんなことを思う。
「あ、おまえ、今度は何を持ってきたんだ!?」
踏青が目ざとくこちらの右手に持っているものを見つけて叫ぶ。
ニヤリと笑うと、踏青に向かって袋を振る。
「今度の毒の原材料」
「わーッ!! やめてくれよッ! 新しい毒つくんな-!!」
慌てて立ち上がってこちらに手を伸ばす彼をひょいと避けて、一番奥の空いている椅子に座る。
「……で、諦めてくれないか?」
横で騒ぐ踏青を放って、ルシェイドに話し掛ける。
「……でも、彼は肉親だろう」
「嫌われているがね」
溜息をついて背もたれに深く背を預ける。
高西風はロウの依頼で殺しにきた。
ルシェイドはロウの依頼で、彼に会えと言う。
この場合どちらを信用すべきか。
「……高西風、お前依頼受けたのいつだっけ?」
「この間だよ。えっと、1週間前くらい」
「ルシェイドは?」
「3日くらい」
「どう思う?」
全員の顔を順番に見る。
何考えてるのかわからないのは冬杣。
話しについていけず、さっきの焦りもどこかへやっているのは踏青。
高西風は首を傾げたままで。
ルシェイドは俯いて考え込んでいるようだ。
一通り見回してから、口を開く。
「おかしい、と思わないか? こんな短期間で、別の依頼内容だぞ」
「別?」
聞き返すルシェイドに、高西風が答える。
「ぼくに依頼ってことは殺しってことだもの。君の依頼と、違うでしょ?」
ルシェイドは困った顔をしてこちらを見た。
「私が拒む理由、大体わかるか?」
「……あんまり、わかりたくないけど」
ためらうように言葉を濁して、続ける。
「君に会ったら、殺すつもりかな」
「つもり、じゃなくてそうだろうな」
淡々と答えた。
それに食って掛かったのは踏青。
「ちょっと待てよ! それは決着ついたんじゃないのかよ!」
「ついてないからこうして話してんじゃないか」
「だって高西風依頼やめたって……」
「でもルシェイドは止めると言っていない」
さらりと言う。
その言葉に踏青はすがるようにルシェイドに視線を向けた。
「そのとおりだよ。できれば彼を連れて行きたい。……最後の肉親に、会わせてやりたい」
「最後?」
怪訝そうに聞くと、ルシェイドは頷いた。
「そう、もうノーリィ家はロウと、君しか残っていない」
がたんと、思わず椅子を蹴倒して立ち上がっていた。
視線が一瞬集まる。
「……なんだって……? 他の皆は、どうしたんだ……?」
ルシェイドは目を閉じて首を振った。
横に。
唇をかみ締めて、椅子に座りなおす。
「なんてこった……!」
「どういうこと?」
高西風が口を挟む。
「……あそこの家には、ロウと、彼に従う人たちしかいない」
呟いて、ルシェイドを見る。
「そういう、ことだろう?」
「……そうだ」
「それでも、まだ私をあそこに連れて行きたいのか? あんな奴のところに?」
半ば自嘲気味に言うと、ためらう様子が見て取れた。
「……えぇと……さっぱりわかんないんだけど……」
片手を上げておそるおそる踏青が口を開く。
「あぁ、お前馬鹿だもんな」
「何だと!」
「馬鹿を馬鹿といって何が悪い」
怒る踏青を鼻であしらう。
口元に手を当て、何か悩んでいたルシェイドは、ひとつ溜息をついた。
「……仕方ない、ぼくは一応報告に戻るとするよ」
「そうか」
お茶の残りを飲み干して、立ち上がる。
「どうなるか……何ともいえないけど」
「まぁ何とかなるさ」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、ルシェイドの姿は薄れて消えた。
「何とも行動の早いやつだな」
感心したように冬杣が呟く。
「おかしい、と思わないか? こんな短期間で、別の依頼内容だぞ」
「別?」
聞き返すルシェイドに、高西風が答える。
「ぼくに依頼ってことは殺しってことだもの。君の依頼と、違うでしょ?」
ルシェイドは困った顔をしてこちらを見た。
「私が拒む理由、大体わかるか?」
「……あんまり、わかりたくないけど」
ためらうように言葉を濁して、続ける。
「君に会ったら、殺すつもりかな」
「つもり、じゃなくてそうだろうな」
淡々と答えた。
それに食って掛かったのは踏青。
「ちょっと待てよ! それは決着ついたんじゃないのかよ!」
「ついてないからこうして話してんじゃないか」
「だって高西風依頼やめたって……」
「でもルシェイドは止めると言っていない」
さらりと言う。
その言葉に踏青はすがるようにルシェイドに視線を向けた。
「そのとおりだよ。できれば彼を連れて行きたい。……最後の肉親に、会わせてやりたい」
「最後?」
怪訝そうに聞くと、ルシェイドは頷いた。
「そう、もうノーリィ家はロウと、君しか残っていない」
がたんと、思わず椅子を蹴倒して立ち上がっていた。
視線が一瞬集まる。
「……なんだって……? 他の皆は、どうしたんだ……?」
ルシェイドは目を閉じて首を振った。
横に。
唇をかみ締めて、椅子に座りなおす。
「なんてこった……!」
「どういうこと?」
高西風が口を挟む。
「……あそこの家には、ロウと、彼に従う人たちしかいない」
呟いて、ルシェイドを見る。
「そういう、ことだろう?」
「……そうだ」
「それでも、まだ私をあそこに連れて行きたいのか? あんな奴のところに?」
半ば自嘲気味に言うと、ためらう様子が見て取れた。
「……えぇと……さっぱりわかんないんだけど……」
片手を上げておそるおそる踏青が口を開く。
「あぁ、お前馬鹿だもんな」
「何だと!」
「馬鹿を馬鹿といって何が悪い」
怒る踏青を鼻であしらう。
口元に手を当て、何か悩んでいたルシェイドは、ひとつ溜息をついた。
「……仕方ない、ぼくは一応報告に戻るとするよ」
「そうか」
お茶の残りを飲み干して、立ち上がる。
「どうなるか……何ともいえないけど」
「まぁ何とかなるさ」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、ルシェイドの姿は薄れて消えた。
「何とも行動の早いやつだな」
感心したように冬杣が呟く。
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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