小説用倉庫。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
一通り見回してから、口を開く。
「おかしい、と思わないか? こんな短期間で、別の依頼内容だぞ」
「別?」
聞き返すルシェイドに、高西風が答える。
「ぼくに依頼ってことは殺しってことだもの。君の依頼と、違うでしょ?」
ルシェイドは困った顔をしてこちらを見た。
「私が拒む理由、大体わかるか?」
「……あんまり、わかりたくないけど」
ためらうように言葉を濁して、続ける。
「君に会ったら、殺すつもりかな」
「つもり、じゃなくてそうだろうな」
淡々と答えた。
それに食って掛かったのは踏青。
「ちょっと待てよ! それは決着ついたんじゃないのかよ!」
「ついてないからこうして話してんじゃないか」
「だって高西風依頼やめたって……」
「でもルシェイドは止めると言っていない」
さらりと言う。
その言葉に踏青はすがるようにルシェイドに視線を向けた。
「そのとおりだよ。できれば彼を連れて行きたい。……最後の肉親に、会わせてやりたい」
「最後?」
怪訝そうに聞くと、ルシェイドは頷いた。
「そう、もうノーリィ家はロウと、君しか残っていない」
がたんと、思わず椅子を蹴倒して立ち上がっていた。
視線が一瞬集まる。
「……なんだって……? 他の皆は、どうしたんだ……?」
ルシェイドは目を閉じて首を振った。
横に。
唇をかみ締めて、椅子に座りなおす。
「なんてこった……!」
「どういうこと?」
高西風が口を挟む。
「……あそこの家には、ロウと、彼に従う人たちしかいない」
呟いて、ルシェイドを見る。
「そういう、ことだろう?」
「……そうだ」
「それでも、まだ私をあそこに連れて行きたいのか? あんな奴のところに?」
半ば自嘲気味に言うと、ためらう様子が見て取れた。
「……えぇと……さっぱりわかんないんだけど……」
片手を上げておそるおそる踏青が口を開く。
「あぁ、お前馬鹿だもんな」
「何だと!」
「馬鹿を馬鹿といって何が悪い」
怒る踏青を鼻であしらう。
口元に手を当て、何か悩んでいたルシェイドは、ひとつ溜息をついた。
「……仕方ない、ぼくは一応報告に戻るとするよ」
「そうか」
お茶の残りを飲み干して、立ち上がる。
「どうなるか……何ともいえないけど」
「まぁ何とかなるさ」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、ルシェイドの姿は薄れて消えた。
「何とも行動の早いやつだな」
感心したように冬杣が呟く。
「おかしい、と思わないか? こんな短期間で、別の依頼内容だぞ」
「別?」
聞き返すルシェイドに、高西風が答える。
「ぼくに依頼ってことは殺しってことだもの。君の依頼と、違うでしょ?」
ルシェイドは困った顔をしてこちらを見た。
「私が拒む理由、大体わかるか?」
「……あんまり、わかりたくないけど」
ためらうように言葉を濁して、続ける。
「君に会ったら、殺すつもりかな」
「つもり、じゃなくてそうだろうな」
淡々と答えた。
それに食って掛かったのは踏青。
「ちょっと待てよ! それは決着ついたんじゃないのかよ!」
「ついてないからこうして話してんじゃないか」
「だって高西風依頼やめたって……」
「でもルシェイドは止めると言っていない」
さらりと言う。
その言葉に踏青はすがるようにルシェイドに視線を向けた。
「そのとおりだよ。できれば彼を連れて行きたい。……最後の肉親に、会わせてやりたい」
「最後?」
怪訝そうに聞くと、ルシェイドは頷いた。
「そう、もうノーリィ家はロウと、君しか残っていない」
がたんと、思わず椅子を蹴倒して立ち上がっていた。
視線が一瞬集まる。
「……なんだって……? 他の皆は、どうしたんだ……?」
ルシェイドは目を閉じて首を振った。
横に。
唇をかみ締めて、椅子に座りなおす。
「なんてこった……!」
「どういうこと?」
高西風が口を挟む。
「……あそこの家には、ロウと、彼に従う人たちしかいない」
呟いて、ルシェイドを見る。
「そういう、ことだろう?」
「……そうだ」
「それでも、まだ私をあそこに連れて行きたいのか? あんな奴のところに?」
半ば自嘲気味に言うと、ためらう様子が見て取れた。
「……えぇと……さっぱりわかんないんだけど……」
片手を上げておそるおそる踏青が口を開く。
「あぁ、お前馬鹿だもんな」
「何だと!」
「馬鹿を馬鹿といって何が悪い」
怒る踏青を鼻であしらう。
口元に手を当て、何か悩んでいたルシェイドは、ひとつ溜息をついた。
「……仕方ない、ぼくは一応報告に戻るとするよ」
「そうか」
お茶の残りを飲み干して、立ち上がる。
「どうなるか……何ともいえないけど」
「まぁ何とかなるさ」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、ルシェイドの姿は薄れて消えた。
「何とも行動の早いやつだな」
感心したように冬杣が呟く。
Comment
倉庫
管理者:西(逆凪)、または沖縞
文章の無断転載及び複製は禁止。
文章の無断転載及び複製は禁止。
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
- ご挨拶。(3)
- [長編] Reparationem damni(12)
- [長編] Nocte repono rubei(72)
- [長編] Sinister ocularis vulnus (30)
- [長編] Lux regnum(61)
- [長編] Pirata insula(47)
- [長編] Purpura discipulus(43)
- [長編] Quinque lapidem(29)
- [短編] Canticum Dei(3)
- [短編] Candidus Penna(9)
- [短編] Dignitate viveret,Mori dignitas (11)
- [短編] Praefiscine(3)