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2012/02/05 (Sun)
 外に出ると少し離れたところにルシェイドがいた。

 視線が合うと、そのまま何も言わずに背を向けて歩き出す。
 とりあえず後をついて行く。

 辿り着いたのは山の麓。
 ここからは町も少ししか見えない。

「何か、用があるんだろ?」
「本当は、用があるのは僕じゃないんだけど」

 言いよどむのは何故だろう。
 口をつぐんでいたのはほんの少し。
「ロウが……。君に」
「聞きたくない」

 少し強い調子で遮ると、驚いたようにルシェイドが息を呑む。
「……用がそれなら、ついてくるんじゃなかったな……」
 ひとりごちると、ルシェイドに向かって強く言う。
「その話なら、二度とするな」
 くるりときびすを返す。

 ふと見慣れた姿を認めて足を止める。
 首を傾げながら、立っていたのは踏青だった。
「……深刻な話か?」
「……なんで、お前がいるんだよ。樹雨はどうした」
 いらいらと言うと、面食らったのか踏青が一歩下がった。

「ロウは弟だろう」
「黙れ!」
 ルシェイドの言葉を怒鳴って止める。
「……弟?」
「関係ないだろ」
 舌打ちとともに言い捨てる。
「君に会いたがっていたよ」
 町に向かって歩き出した足を止めたのは、ルシェイドの声だった。

 陰惨な顔つきになっているであろうことを自覚しながら、後ろを振り返る。
「私は会いたくない」
「しかし……」
「お前に何がわかるっていうんだ」
 言いかけたルシェイドを遮る。
 声は怒りに震えているのに、頭のどこかが妙に冷静なのがおかしかった。

「私はあいつには会いたくない。……二度と!」

 一言一言、言い聞かせるように話す。
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