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2012/02/05 (Sun)
「でも、戴冠するのはフォリィアなんだから、刺客をどうにかすればいいだけでしょ?」
「私が戴冠するとはまだ決まっていないと……」

「王になるのはあなた以外ありえない」

 断言するディリクに、言葉を詰まらせる。
 揺るぎない瞳。
 ありえないと称された瞳に、吸い込まれそうになる。

「ま、ここで何言ってもしょうがないみたいだし。僕はもう戻るよ」
「ルシェイド」
「……わかってるよ」
 ディリクの咎めるような言葉に、ルシェイドはフォリィアの額に手を当てた。
 一瞬の目眩を感じて思わずフォリィアは後ろに下がった。
「これでいいだろ」
 どこか憮然とした表情でディリクに言い、それからフォリィアに向き直る。
「今この時から戴冠が終わるまで、いかなる魔法の攻撃も君には届かない。……だけど注意して。魔法の攻撃のみ、だからね。物理攻撃は君が何とかしてくれ」
 返事をする間もなく、ルシェイドは宙に消えた。
「あの人もそれなりに忙しいようだ。私も失礼しよう。何かあれば呼んでくれ……」
 そう言うとディリクも消えてしまう。

 一気にふたりいなくなって、残された三人は互いに顔を見合わせる。
「……どうしよう……ね……」
「……お暇でしたら、どうぞごゆっくりとお過ごしください」
 一礼してサファが出て行く。
「ここでゆっくりと過ごせるか? ……私の部屋に行こう」
 ふと、エディウスが扉を見やる。

「フォリィア様、いますか?」
 顔をのぞかせたのはツェリーシュだった。
 げんなりとフォリィアがそちらに顔をやると、彼を見つけたツェリーシュがうれしそうな表情になる。
「フォリィア様にお客様です。頼み事があるとか言ってました。女の人ですよ」
「どこに?」
「城門のところにいます。中まで通すなって衛兵さんが」
「先に行っててくれ」
 エディウスに言ってから、ツェリーシュの後に続いて部屋から出て行く。
 周りを見渡してから、エディウスは部屋から出た。

 珍しく、歩いていこうと思ったからだ。
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