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2012/02/05 (Sun)
 自分の部屋に入ると、エディウスが窓際に立っていた。
 ぼんやりと、窓の外を見ている。

 近寄ると、こちらに気づいたのかゆっくりと振り向いた。
「何か見えるか?」
「……空が……」
 赤くなり始めた空を、フォリィアはいぶかしげに見た。
 普段と変わらない。
 空なのに。

「何か、面白いのか?」
「……神界には……夜が、ないから……」
「じゃあ、いつも昼なのか?」
「……昼というより、朝に、近いよ……」
 片眉を上げてフォリィアは難しい顔をする。
「いまいちわからないな」
 そう言うと、エディウスはふわりと微笑んで、また窓の外に視線を移した。
「……神界に、夜がないように……魔界には、昼がないと……聞いたけど……」
「じゃあ、いつも夜なのか? それは見通しが悪いだろう」
「……夜と、はっきり区別はできないみたい……薄暗いだけだと……言うけど、僕は行ったことがないから……」
「それも、ルシェイドが言っていたのか?」
 窓の外に視線をやったまま、エディウスがうなずく。

 フォリィアは窓の近くを離れて、ソファに座った。
「とりあえず、今日はどうするんだ? ここに泊まっていくか?」
 驚いたようにエディウスがこちらに視線を向ける。
「部屋はあまってるから、遠慮はすることないぞ」
「でも……」
「……扉を作るのも疲れると聞いた。大丈夫なのか?」
 確かに疲れていたが、エディウスはあいまいに頷いた。
 その様子を見てため息をつき、立ち上がってエディウスの腕をつかんだ。
 そのまま部屋の右側にある扉を開くと中に連れて行った。
「ここを自由に使って良い。私は隣にいる」
「……フォリィア……」
「そんな顔色で大丈夫だといってみせたところで説得力がないぞ」
 厳しい顔で切り返されて、エディウスは言葉に詰まる。

 ふと表情を緩めると、扉に向かった。
「休めるときに休んでおけよ」
 残されたエディウスは困ったように扉を見ている。
 フォリィアの足音が扉から遠ざかっていくのが聞こえた。
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