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2012/02/05 (Sun)
 瞼の裏にきらきらした光が踊る。
 薄く目を開ける。見慣れない天井。
 そして。
 明るい朝の光。
 エディウスは身体を起こして、ようやくそこがフォリィアの寝室だということに気づいた。

 慌てて起きて、途中躓きながらも執務室への扉を開ける。
 ソファに座ったまま、フォリィアは目を閉じていた。
 寝ているのか、近づいても動かない。
 ソファの前の机には、山積みにされた書類の束が乗っている。
 全て処理済だ。
 書類の山からフォリィアに視線を移す。

 整った顔立ちは、昨日よりも少しだけ大人びてきていた。まだ魔法が完全に解けていないのだろう。
 エディウスは寝室からかけ布を持ってくると、フォリィアの上にかけた。
 起きるかと思ったが、身じろぎしただけで目を開かなかった。
 エディウスは向かいのソファに座ると、背もたれに身を預けてじっと顔を見つめる。

 年若い現界の王。
 けれど決して、彼は自分より長く生きることはないのだ。
 神族の寿命は人族の約5倍。
 エディウスは寿命の半分ほどしかまだ生きていない。
 なのに。

 そのままじっと見ていると、フォリィアが薄く目を開いた。
「……どうした?」
 瞬きをしながら、視線を向けてくる。
「……え……」
「何か、悲しいことでも?」
 エディウスはわずかに目を見開いた。顔に出ていたとは思わなかったからだ。
 何でわかったんだろうと思いつつ、フォリィアの顔を見る。
 フォリィアは目をこすって書類の束を無造作に隅に置く。
 そのうちのいくつかの書類を持って扉を開けると、彼は声を少し大きくして言った。
「ツェリーシュ! いるか?」

「はぁい~。おはようございます……」
「……寝ぼけてるのか? これを届けてくれ」
「大丈夫ですぅ。わかりました……」
 渡された書類を手に戻ろうとするツェリーシュに向かって、フォリィアが声をかける。
「ああ、朝食はふたり分にしてくれ」
「エディウス様の分ですね。わかりましたぁ」
 ツェリーシュの眠そうな声に、少し不安げな顔をしてフォリィアが戻ってくる。
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