小説用倉庫。
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消えてから半刻ほどしか経っていないのに、長い時間が経っているように感じる。
半分いらいらしながら、倒れたままのヴィオルウスを見る。
「落ち着け、グラディウス」
「……だって……」
「動かないでくれ、怪我が治せない」
腕を強く握られて、うめきをあげる。
「……治療じゃないの……?」
「動くからだ。おとなしくしていろ」
ゆっくり、時間をかけての治療。
怪我した腕は暖かな光に包まれている。
ルシェイドはアレンを治療しに階下に降りている。
もう一度ヴィオルウスの方を見る。
軽い足音がして、アレンとルシェイドが走ってきた。
「……ヴィオルウスは?」
「まだだ」
「あ……」
アレンが声をあげる。
その声に4人がヴィオルウスの方を見た。
ゆっくり、目が開く。
以前より青に近づいた紫の眼。
まるで夢遊病者のような動作で立ち上がると、両手を前に差し出すようにしてまた目を閉じる。
柔らかな光が溢れる。
その光の中から、黒い髪の青年が出てきた。
光が収まると目を開け、ヴィオルウスの方を見て笑う。
ヴィオルウスの方も少しはにかんだように笑い、4人の方を振り向いた。
「……ヴィオルウス!」
グラディウスが駆け寄る。
ため息をついて苦笑して、ルシェイドはディリクと顔を見合わせた。
疲れたように、アレンは髪をかきあげる。
「一件落着、か?」
「まぁ、今のところはね」
ルシェイドが微笑む。
「それじゃ、退避させたやつら呼び戻さないとな」
うん、と伸びをしてアレンがぼやく。
「そうだね。ここも修復させないと……」
これからの相談をはじめた3人を残し、グラディウスは心配げに、けれどどこか安心したようにヴィオルウスの頭を柔らかくなでた。
「……良かった……ヴィオルウス、もう、大丈夫?」
「……平気。ごめん」
「ああ、怪我? 大丈夫だよ、ディリクに治してもらったから」
ほらと言って腕を振る。
それからアィルのほうを見て笑った。
「ありがとうな。感謝してもし足りないくらいだよ」
笑みをもって答え、アィルはディリクのほうに向かう。
「ディリク、これ、借りてたやつ」
そう言って石を差し出す。
それは、ディリクの差し出した手に触れる前に砕け散った。
驚くアィルに、ディリクは笑って言った。
「これはおまえの身を守るように作ったものだから、役目を終えたんだ」
「そうか……」
グラディウスとヴィオルウスが皆のところに来る。
「これから、どうするの?」
ルシェイドが静かに聞く。
「俺は帰るよ」
その言葉に、ヴィオルウスは少し戸惑ったような表情を見せた。
「おまえは?」
「わ、わたし、は……」
ヴィオルウスはグラディウスを振り返る。
「行っておいでよ」
彼は笑って、背中を押す。
「たまに帰ってきてくれればいいからさ」
「……うん」
「じゃあ決まりだな。……ところでどうやって帰ったらいいんだ?」
半分いらいらしながら、倒れたままのヴィオルウスを見る。
「落ち着け、グラディウス」
「……だって……」
「動かないでくれ、怪我が治せない」
腕を強く握られて、うめきをあげる。
「……治療じゃないの……?」
「動くからだ。おとなしくしていろ」
ゆっくり、時間をかけての治療。
怪我した腕は暖かな光に包まれている。
ルシェイドはアレンを治療しに階下に降りている。
もう一度ヴィオルウスの方を見る。
軽い足音がして、アレンとルシェイドが走ってきた。
「……ヴィオルウスは?」
「まだだ」
「あ……」
アレンが声をあげる。
その声に4人がヴィオルウスの方を見た。
ゆっくり、目が開く。
以前より青に近づいた紫の眼。
まるで夢遊病者のような動作で立ち上がると、両手を前に差し出すようにしてまた目を閉じる。
柔らかな光が溢れる。
その光の中から、黒い髪の青年が出てきた。
光が収まると目を開け、ヴィオルウスの方を見て笑う。
ヴィオルウスの方も少しはにかんだように笑い、4人の方を振り向いた。
「……ヴィオルウス!」
グラディウスが駆け寄る。
ため息をついて苦笑して、ルシェイドはディリクと顔を見合わせた。
疲れたように、アレンは髪をかきあげる。
「一件落着、か?」
「まぁ、今のところはね」
ルシェイドが微笑む。
「それじゃ、退避させたやつら呼び戻さないとな」
うん、と伸びをしてアレンがぼやく。
「そうだね。ここも修復させないと……」
これからの相談をはじめた3人を残し、グラディウスは心配げに、けれどどこか安心したようにヴィオルウスの頭を柔らかくなでた。
「……良かった……ヴィオルウス、もう、大丈夫?」
「……平気。ごめん」
「ああ、怪我? 大丈夫だよ、ディリクに治してもらったから」
ほらと言って腕を振る。
それからアィルのほうを見て笑った。
「ありがとうな。感謝してもし足りないくらいだよ」
笑みをもって答え、アィルはディリクのほうに向かう。
「ディリク、これ、借りてたやつ」
そう言って石を差し出す。
それは、ディリクの差し出した手に触れる前に砕け散った。
驚くアィルに、ディリクは笑って言った。
「これはおまえの身を守るように作ったものだから、役目を終えたんだ」
「そうか……」
グラディウスとヴィオルウスが皆のところに来る。
「これから、どうするの?」
ルシェイドが静かに聞く。
「俺は帰るよ」
その言葉に、ヴィオルウスは少し戸惑ったような表情を見せた。
「おまえは?」
「わ、わたし、は……」
ヴィオルウスはグラディウスを振り返る。
「行っておいでよ」
彼は笑って、背中を押す。
「たまに帰ってきてくれればいいからさ」
「……うん」
「じゃあ決まりだな。……ところでどうやって帰ったらいいんだ?」
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