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2012/02/05 (Sun)
 ヴィオルウスは身を翻して闇の奥に消えた。
 それを追って走る。

 長い、長い時間走っているような気がしていた。
 時間の感覚さえ狂うほどの深い闇の中。
 けれど誰かがいる感覚はあった。
「ヴィオルウス……」
(起こさないで)
 かすかに聞こえた声に顔を上げる。
(もう見たくない)
 声は反響いているかのようにいろいろなところから聞こえてくる。
(見ていたくない)
 場所が特定できない。
(だからどうか)
「ヴィオルウス! どこだ!」

(起こさないで)

 一瞬見えた幻影。
 赤い、赤黒い、モノの上に立つ銀青色の髪の人影。
 あれは。

 にやりと。
 笑ったのが、見えた気がした。


「今のは……おまえの過去か」
 なんとなく、そうだと心が答えた。
 はじめて見た。
 あんなにも残酷な光景は。

 けれど。
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