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2024/11/21 (Thu)
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2012/02/05 (Sun)
 国にはそれぞれ国主と呼ばれる人々がいた。
 ひとつの国にひとりの国主。
 そして中央の大地にも。

 彼らが、自国が滅びないよう采配を振るう。

 民が。
 平穏に、暮らしていけるように。



「レイラ、今日は街に下りてみようか」

 サキは、国主の付き人である彼女に声をかけた。
 書類を片付けていた彼女は、サキの言葉に微笑む。
「そうですね。気分転換にはちょうどいいかと……。それに、今日は市が立っているそうですよ」
 サキは、机の引出しに書きかけの書類をしまってから、立ち上がった。
「私はこれを届けてから行きます」
「じゃあ、外にいるよ」
 サキとレイラは部屋を出て、反対方向に歩き出した。

 ゆっくりゆっくりとサキは廊下を歩く。そんなに長い廊下でもないのに、なぜかかなり時間をかけて歩いているような気になってくる。
 実際は、すぐに廊下は終わっているのに。
 そういえば、この建物の名前はなんと言ったか。
 昔は覚えていたはずなのに、誰も呼ばないため、忘れてしまったらしい。
 ただ、そこにあるだけだったから。
 少し自嘲気味に微笑みながら、背後をふり返る。

 しんと静まり返った廊下。
 日の光だけが支配する。
 まるでそこだけ時間が止まってしまったかのような。


「サキ様?」
 不意に近くから声が聞こえて、サキは瞬きを繰り返す。
「どうかなされましたか?」
「いや……なんでもないよ」
 気がつけば近くにいたレイラに、微笑んで答えながら。

 いつから。
 自分は素直に笑えなくなったのだろうと。

 考えていた。
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