小説用倉庫。
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国にはそれぞれ国主と呼ばれる人々がいた。
ひとつの国にひとりの国主。
そして中央の大地にも。
彼らが、自国が滅びないよう采配を振るう。
民が。
平穏に、暮らしていけるように。
「レイラ、今日は街に下りてみようか」
サキは、国主の付き人である彼女に声をかけた。
書類を片付けていた彼女は、サキの言葉に微笑む。
「そうですね。気分転換にはちょうどいいかと……。それに、今日は市が立っているそうですよ」
サキは、机の引出しに書きかけの書類をしまってから、立ち上がった。
「私はこれを届けてから行きます」
「じゃあ、外にいるよ」
サキとレイラは部屋を出て、反対方向に歩き出した。
ゆっくりゆっくりとサキは廊下を歩く。そんなに長い廊下でもないのに、なぜかかなり時間をかけて歩いているような気になってくる。
実際は、すぐに廊下は終わっているのに。
そういえば、この建物の名前はなんと言ったか。
昔は覚えていたはずなのに、誰も呼ばないため、忘れてしまったらしい。
ただ、そこにあるだけだったから。
少し自嘲気味に微笑みながら、背後をふり返る。
しんと静まり返った廊下。
日の光だけが支配する。
まるでそこだけ時間が止まってしまったかのような。
「サキ様?」
不意に近くから声が聞こえて、サキは瞬きを繰り返す。
「どうかなされましたか?」
「いや……なんでもないよ」
気がつけば近くにいたレイラに、微笑んで答えながら。
いつから。
自分は素直に笑えなくなったのだろうと。
考えていた。
ひとつの国にひとりの国主。
そして中央の大地にも。
彼らが、自国が滅びないよう采配を振るう。
民が。
平穏に、暮らしていけるように。
「レイラ、今日は街に下りてみようか」
サキは、国主の付き人である彼女に声をかけた。
書類を片付けていた彼女は、サキの言葉に微笑む。
「そうですね。気分転換にはちょうどいいかと……。それに、今日は市が立っているそうですよ」
サキは、机の引出しに書きかけの書類をしまってから、立ち上がった。
「私はこれを届けてから行きます」
「じゃあ、外にいるよ」
サキとレイラは部屋を出て、反対方向に歩き出した。
ゆっくりゆっくりとサキは廊下を歩く。そんなに長い廊下でもないのに、なぜかかなり時間をかけて歩いているような気になってくる。
実際は、すぐに廊下は終わっているのに。
そういえば、この建物の名前はなんと言ったか。
昔は覚えていたはずなのに、誰も呼ばないため、忘れてしまったらしい。
ただ、そこにあるだけだったから。
少し自嘲気味に微笑みながら、背後をふり返る。
しんと静まり返った廊下。
日の光だけが支配する。
まるでそこだけ時間が止まってしまったかのような。
「サキ様?」
不意に近くから声が聞こえて、サキは瞬きを繰り返す。
「どうかなされましたか?」
「いや……なんでもないよ」
気がつけば近くにいたレイラに、微笑んで答えながら。
いつから。
自分は素直に笑えなくなったのだろうと。
考えていた。
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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