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2012/02/05 (Sun)
 日の多く入る回廊を歩くとき、ミカゲはいつも外を見て足を止める。
 サキにとっては日常の、何の変哲もない外を。

「ここは、いつ来ても風が気持ちよいですね」

 その言葉に、オリエーンスがもうここ何ヶ月も風が吹かないことに思い至った。
 そのため、木が枯れはじめているとのことだ。
 つい言葉を失ってしまったサキに気づいて、ミカゲがふり返る。
「どうしたんですか、そんな顔をして」
 ミカゲが淡く微笑む。
 消え入りそうな笑顔。
「まぁ、このごろ災難続きなんです。今日来たのもそのことなんですよ」
 苦笑するミカゲは、どこか陰を含んでいて、日の光によってできる影のように感じた。
 背筋を冷たいものが伝う。

「それで、どこに行けば良いんですか?」
 立ち止まっていたことに気づき、サキが慌てて歩き出す。

 しばらく歩いて、視線を足元に落としたまま、サキはポツリと呟く。
「世界が滅びるって、どういうことだろうね」
「……何ですって?」
 呟きを聞きとがめて、眉間にしわを寄せる。

「宝玉って言ったら、何を思いつく?」
 先に言った質問と違ったことを、不意にサキが問う。
「それは、あれでしょう」

 大地にそれぞれある、5つの宝石を。
 思い浮かべてミカゲが言う。

 サキは額にかかる髪をかきあげて、視線を上げる。
「じゃあ、柱は?」
「柱? ……どうしたんです、さっきから」

 怪訝な顔でミカゲが問いただす。
 曖昧な返事をして、サキは目を閉じた。
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