小説用倉庫。
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建物の前に立つと、なぜか少しほっとする。
いつもここにいたからか、それとも喧騒になれていなかったからなのか。
それはわからないけれど。
「レイラ、中に入ったら、お茶を入れてくれるかい?」
「はい」
扉に手をかけて言うと、レイラはほころぶように笑った。
サキは開けるために手に力をこめるが、それは内側に引っ張られた。
つられて前につんのめるサキを、内側に立っていた人物が受け止める。
訳もわからずその人物の手を借りて何とか立ち上がると、後ろからレイラの声が耳に飛び込んだ。
「ミカゲ様!?」
「え、ミカゲ?」
ぱっと顔をあげてみると、たしかにそこには良く見知った顔がいた。
ミカゲはオリエーンスの国主である。中央の大地を挟んで向かいにあるが、そんな距離はたいした意味もないほどミカゲはよく来る。
彼は温和な顔をして、少しずれたメガネを押し上げて口を開く。
「こんにちは。お久しぶりです。……元気そうで何よりですね」
ミカゲは誰に対しても丁寧な口調だ。
「いや、そちらこそ……どうかしたのか?」
サキはミカゲがここに来たことを疑問に思って聞いてみる。
今オリエーンスはかなり酷い状態になってきているはずだ。こんなところに国主がいてもいいのだろうか。
「えぇ、少し……」
ふと、国主の付き人がいないことに気づく。
「シルウァは?」
「彼には少しお使いを。……この館は誰もいないのでしょうか。どうしたらいいか迷っていたのですけれど」
「ああ、……人手不足で、市がたっているから、街には人がいるんだけど」
「お茶、入れてきますね」
レイラがそう言って小走りに去っていく。
「じゃあ、こちらに」
玄関に立ったままだったので、サキはミカゲを伴って歩き出す。
いつもここにいたからか、それとも喧騒になれていなかったからなのか。
それはわからないけれど。
「レイラ、中に入ったら、お茶を入れてくれるかい?」
「はい」
扉に手をかけて言うと、レイラはほころぶように笑った。
サキは開けるために手に力をこめるが、それは内側に引っ張られた。
つられて前につんのめるサキを、内側に立っていた人物が受け止める。
訳もわからずその人物の手を借りて何とか立ち上がると、後ろからレイラの声が耳に飛び込んだ。
「ミカゲ様!?」
「え、ミカゲ?」
ぱっと顔をあげてみると、たしかにそこには良く見知った顔がいた。
ミカゲはオリエーンスの国主である。中央の大地を挟んで向かいにあるが、そんな距離はたいした意味もないほどミカゲはよく来る。
彼は温和な顔をして、少しずれたメガネを押し上げて口を開く。
「こんにちは。お久しぶりです。……元気そうで何よりですね」
ミカゲは誰に対しても丁寧な口調だ。
「いや、そちらこそ……どうかしたのか?」
サキはミカゲがここに来たことを疑問に思って聞いてみる。
今オリエーンスはかなり酷い状態になってきているはずだ。こんなところに国主がいてもいいのだろうか。
「えぇ、少し……」
ふと、国主の付き人がいないことに気づく。
「シルウァは?」
「彼には少しお使いを。……この館は誰もいないのでしょうか。どうしたらいいか迷っていたのですけれど」
「ああ、……人手不足で、市がたっているから、街には人がいるんだけど」
「お茶、入れてきますね」
レイラがそう言って小走りに去っていく。
「じゃあ、こちらに」
玄関に立ったままだったので、サキはミカゲを伴って歩き出す。
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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