小説用倉庫。
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サキの私室である部屋にミカゲを通してしばらく。
廊下を足音が近づいてくるのに気づいて、ふたりは扉を見やった。
急いでいるような、そんな足音。
「ミカゲ様!」
「シルウァ」
扉を開けて入ってきた少年に、ミカゲが微笑む。
シルウァはミカゲの付き人だ。
まだ少年だが、よく働くとの評判の。
少し気弱そうな瞳をミカゲに向け、それからサキに向ける。
「こんにちは、サキ様」
礼儀正しく言うシルウァに、サキも挨拶を返す。
「あの……」
「ああ、かまいません。今渡してくださいますか?」
シルウァの態度に微笑み、ミカゲが促す。
彼がすっと差し出したのは、苗だった。
オッカースゥスでよく育つ、木の苗。
「ミカゲ、それは?」
「これですか? ……いい木があれば買ってくるように、頼んだんです。国で育つかどうかは疑問なんですが」
苦笑して、苗を受取る。
ゆっくりとそれを見てから、シルウァを見上げ、微笑む。
「ああ、いいですね。ご苦労様です。シルウァ」
その言葉に、シルウァが相好を崩す。
花がほころぶような、笑顔。
「皆さん、お茶、いかがですか?」
その時ちょうどレイラが戻ってきた。
どうやら苗を買いに来ただけのようで、ミカゲ達はしばらくして帰ってしまった。
帰り際に、不吉なことを言い残して。
彼は神妙な顔で、まっすぐサキを見て言った。
「……占者が言っていました。近いうちに、赤い石が割れると」
サキはその言葉を聞いて、半ば呆然とミカゲの顔を見た。
「よくは、わからなかったんですが」
そう言って笑った彼に、サキは何か腑に落ちないものを感じた。
何かがあるような。
違和感が。
廊下を足音が近づいてくるのに気づいて、ふたりは扉を見やった。
急いでいるような、そんな足音。
「ミカゲ様!」
「シルウァ」
扉を開けて入ってきた少年に、ミカゲが微笑む。
シルウァはミカゲの付き人だ。
まだ少年だが、よく働くとの評判の。
少し気弱そうな瞳をミカゲに向け、それからサキに向ける。
「こんにちは、サキ様」
礼儀正しく言うシルウァに、サキも挨拶を返す。
「あの……」
「ああ、かまいません。今渡してくださいますか?」
シルウァの態度に微笑み、ミカゲが促す。
彼がすっと差し出したのは、苗だった。
オッカースゥスでよく育つ、木の苗。
「ミカゲ、それは?」
「これですか? ……いい木があれば買ってくるように、頼んだんです。国で育つかどうかは疑問なんですが」
苦笑して、苗を受取る。
ゆっくりとそれを見てから、シルウァを見上げ、微笑む。
「ああ、いいですね。ご苦労様です。シルウァ」
その言葉に、シルウァが相好を崩す。
花がほころぶような、笑顔。
「皆さん、お茶、いかがですか?」
その時ちょうどレイラが戻ってきた。
どうやら苗を買いに来ただけのようで、ミカゲ達はしばらくして帰ってしまった。
帰り際に、不吉なことを言い残して。
彼は神妙な顔で、まっすぐサキを見て言った。
「……占者が言っていました。近いうちに、赤い石が割れると」
サキはその言葉を聞いて、半ば呆然とミカゲの顔を見た。
「よくは、わからなかったんですが」
そう言って笑った彼に、サキは何か腑に落ちないものを感じた。
何かがあるような。
違和感が。
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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