小説用倉庫。
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「どうすればよいのか、私も少し考えてみよう.……答えは、出ないやも知れんがの」
そう言い残して、ヒウリは自国に帰っていった。
サキは自室の椅子に坐ったまま、じっと考えていた。
「今日はお客様が多かったですね」
静かに入ってきたレイラが、淹れなおしたお茶をサキの前に置く。
「そう、だね……」
深く考えに沈むサキに、ためらいがちに声をかける。
「……あの」
言いにくそうに顔を伏せるレイラに視線を向けた。
「何だ?」
「その……石は、今、どこに……?」
「宝玉のことか? あれなら、奥の部屋に置いたままだが」
奥の部屋は、この建物が建ったときから大切なものの保管場所として存在していた。
たいしたものは入っていないが、それなりに役に立つ。
結構しっかりした部屋なので、サキはそこに宝玉を置いていた。
鍵はもちろんサキが持つ。
「それが、どうかしたのか?」
「い、いえ! なんでもないです」
「そうか?」
大慌てで両手を振るレイラに、サキは首を傾げる。
彼女はそんな視線を避けるように一礼して出て行った。
その夜、サキは寝付けずに外に出ていた。
明るく光る月がふたつある。
手のひら位の大きさのと、それより一回り大きな月と。
大昔はひとつだったらしいそれが、いつからふたつになったかなど知らない。
頬にあたる風を感じて、ゆっくりと周りを見る。
町にちらほら灯りがあるだけで、昼間の喧騒は影も形もない。
静かな景色。
「どうしたら……」
この空間を。
言いかけて口をつぐむ。
言葉に出しても意味のないこと。
サキは首を横に振って、部屋に戻った。
彼がいなくなって少し。
建物の陰になっているあたりで、じっとサキがいた場所を見ているレイラがいた。
そう言い残して、ヒウリは自国に帰っていった。
サキは自室の椅子に坐ったまま、じっと考えていた。
「今日はお客様が多かったですね」
静かに入ってきたレイラが、淹れなおしたお茶をサキの前に置く。
「そう、だね……」
深く考えに沈むサキに、ためらいがちに声をかける。
「……あの」
言いにくそうに顔を伏せるレイラに視線を向けた。
「何だ?」
「その……石は、今、どこに……?」
「宝玉のことか? あれなら、奥の部屋に置いたままだが」
奥の部屋は、この建物が建ったときから大切なものの保管場所として存在していた。
たいしたものは入っていないが、それなりに役に立つ。
結構しっかりした部屋なので、サキはそこに宝玉を置いていた。
鍵はもちろんサキが持つ。
「それが、どうかしたのか?」
「い、いえ! なんでもないです」
「そうか?」
大慌てで両手を振るレイラに、サキは首を傾げる。
彼女はそんな視線を避けるように一礼して出て行った。
その夜、サキは寝付けずに外に出ていた。
明るく光る月がふたつある。
手のひら位の大きさのと、それより一回り大きな月と。
大昔はひとつだったらしいそれが、いつからふたつになったかなど知らない。
頬にあたる風を感じて、ゆっくりと周りを見る。
町にちらほら灯りがあるだけで、昼間の喧騒は影も形もない。
静かな景色。
「どうしたら……」
この空間を。
言いかけて口をつぐむ。
言葉に出しても意味のないこと。
サキは首を横に振って、部屋に戻った。
彼がいなくなって少し。
建物の陰になっているあたりで、じっとサキがいた場所を見ているレイラがいた。
「アザミ、どうだ?」
かすかに笑いを含んだ声で、彼が問う。
「ええ、ほぼ予定通りですわ」
「しかし、よく考えつくものだな」
「そうですか?」
鮮やかに笑んで、首を傾げた。
つと、机に乗ったろうそくの炎に近寄る。
「もうすぐ……もうすぐですわ」
それは。
唯、ひとりのために。
「レイラ、ちょっといいか?」
朝早く、サキはレイラの所に行った。
サキにとっては早いが、レイラにとってはそんなに早い時間でもない。
予想通りすでに起きていた彼女は、サキの声に肩を大きく震わせてふり返った。
「……サキ様……? 何ですか?」
「……? いや、少し、付き合って欲しいところがあるんだ」
「どこかへ、行くのですか?」
ぎこちない笑みを浮かべて問うレイラを見て内心首を傾げながら、サキがいう。
「……メリーディエースを、見てみたいんだ。どうなったのか」
「わかりました。今日の、この書類を片付けたら、行きましょう」
レイラはいつもの表情に戻って、手にした書類を渡した。
「これは、酷いな……」
絶壁の上に立って、サキは下を見下ろした。
すでにそこは大地のあった名残すらなく、眼下に青く光る海が広がるばかりだった。
今サキの立っているところも、ともすれば崩れそうに脆い。
何事もなかったかのように沈黙する大地。
「レイラ……」
もう帰ろうと言いかけたところで、突然揺れが襲った。
「サキ様!!」
地震の中で袖を引っ張られて地面に倒れこむ。
何とか先ほどまで立っていたところを見ると、すでにそれは音を立てて海に落ちていくところだった。
「もう少し、こちらへ……!」
立ち上がることもできない揺れの中で、それでも何とか安全だと思えるようなところまで這っていく。
徐々に、大地が崩れていく。
それを目の当たりにして、サキは視線をそらすことができなかった。
しばらくして揺れは収まった。
昨日と、同じような時間の間隔。
不安が胸を竦ませる。
「まさか……」
ヒウリの言葉を思い出す。次に危ないのは……。
「レイラ、オリエーンスに寄って行こう」
青ざめた顔で言うサキに、同じくらい顔を青くしたレイラが頷いた。
かすかに笑いを含んだ声で、彼が問う。
「ええ、ほぼ予定通りですわ」
「しかし、よく考えつくものだな」
「そうですか?」
鮮やかに笑んで、首を傾げた。
つと、机に乗ったろうそくの炎に近寄る。
「もうすぐ……もうすぐですわ」
それは。
唯、ひとりのために。
「レイラ、ちょっといいか?」
朝早く、サキはレイラの所に行った。
サキにとっては早いが、レイラにとってはそんなに早い時間でもない。
予想通りすでに起きていた彼女は、サキの声に肩を大きく震わせてふり返った。
「……サキ様……? 何ですか?」
「……? いや、少し、付き合って欲しいところがあるんだ」
「どこかへ、行くのですか?」
ぎこちない笑みを浮かべて問うレイラを見て内心首を傾げながら、サキがいう。
「……メリーディエースを、見てみたいんだ。どうなったのか」
「わかりました。今日の、この書類を片付けたら、行きましょう」
レイラはいつもの表情に戻って、手にした書類を渡した。
「これは、酷いな……」
絶壁の上に立って、サキは下を見下ろした。
すでにそこは大地のあった名残すらなく、眼下に青く光る海が広がるばかりだった。
今サキの立っているところも、ともすれば崩れそうに脆い。
何事もなかったかのように沈黙する大地。
「レイラ……」
もう帰ろうと言いかけたところで、突然揺れが襲った。
「サキ様!!」
地震の中で袖を引っ張られて地面に倒れこむ。
何とか先ほどまで立っていたところを見ると、すでにそれは音を立てて海に落ちていくところだった。
「もう少し、こちらへ……!」
立ち上がることもできない揺れの中で、それでも何とか安全だと思えるようなところまで這っていく。
徐々に、大地が崩れていく。
それを目の当たりにして、サキは視線をそらすことができなかった。
しばらくして揺れは収まった。
昨日と、同じような時間の間隔。
不安が胸を竦ませる。
「まさか……」
ヒウリの言葉を思い出す。次に危ないのは……。
「レイラ、オリエーンスに寄って行こう」
青ざめた顔で言うサキに、同じくらい顔を青くしたレイラが頷いた。
そこはメリーディエースと大して変わらなかった。
大地など跡形もない。
「そんな……」
絶望に彩られた瞳を見開く。
まだ何もしてないのに。
こんなに早く!
「サキ様!」
レイラの声に、彼女が指差す方向を見る。
誰かが倒れていた。
「……ッ……! ミカゲ……!」
弾かれたように走り出すサキに数歩送れてレイラが走る。
「ミカゲ! ……ミカゲ!!」
せきこんだように抱き起こす。
少しめがねが曇っている。
それ以外特に変わった様子はない。
揺さぶると、かすかにうめいて目を開いた。
まだ焦点の定まらぬ目で周りを見ているが、はっとしたようにサキを見ると、袖口を掴んできた。
「シルウァは……街のみんなは!?」
サキが答えられずにいると、ミカゲは大地のあったほうに顔を向け、肩を震わせた。
「さっきの、地震ですか?」
レイラが聞いているが、それには答えられず、ミカゲはふらりと立ち上がると、今はもう崖になっているところに向けて歩き出した。
「……ミカゲ!」
サキが慌てて止める。
なおも前に進もうとするので掴んだ腕に力をこめる。
彼は不意に力を抜き、膝を落した。
「何故……私はここにいるのでしょう」
虚ろな瞳で。
ぽつりと呟く。
「どうして……!」
ミカゲは片手で顔を覆うと、声を出さずに肩を震わせた。
彼が、ミカゲが今ここにいるのは、シルウァのおかげだという。
大地が揺れ始めたとき、彼らは街に帰っていく途中だった。
とっさに、シルウァはミカゲを突き飛ばした。
大地が傾きかけているのを悟ったからだった。突き飛ばした勢いそのまま、彼は大地とともに海に飲み込まれていった。
ミカゲが助かったのは、運が良かったからとしか思えない。
大地など跡形もない。
「そんな……」
絶望に彩られた瞳を見開く。
まだ何もしてないのに。
こんなに早く!
「サキ様!」
レイラの声に、彼女が指差す方向を見る。
誰かが倒れていた。
「……ッ……! ミカゲ……!」
弾かれたように走り出すサキに数歩送れてレイラが走る。
「ミカゲ! ……ミカゲ!!」
せきこんだように抱き起こす。
少しめがねが曇っている。
それ以外特に変わった様子はない。
揺さぶると、かすかにうめいて目を開いた。
まだ焦点の定まらぬ目で周りを見ているが、はっとしたようにサキを見ると、袖口を掴んできた。
「シルウァは……街のみんなは!?」
サキが答えられずにいると、ミカゲは大地のあったほうに顔を向け、肩を震わせた。
「さっきの、地震ですか?」
レイラが聞いているが、それには答えられず、ミカゲはふらりと立ち上がると、今はもう崖になっているところに向けて歩き出した。
「……ミカゲ!」
サキが慌てて止める。
なおも前に進もうとするので掴んだ腕に力をこめる。
彼は不意に力を抜き、膝を落した。
「何故……私はここにいるのでしょう」
虚ろな瞳で。
ぽつりと呟く。
「どうして……!」
ミカゲは片手で顔を覆うと、声を出さずに肩を震わせた。
彼が、ミカゲが今ここにいるのは、シルウァのおかげだという。
大地が揺れ始めたとき、彼らは街に帰っていく途中だった。
とっさに、シルウァはミカゲを突き飛ばした。
大地が傾きかけているのを悟ったからだった。突き飛ばした勢いそのまま、彼は大地とともに海に飲み込まれていった。
ミカゲが助かったのは、運が良かったからとしか思えない。
とりあえず3人はいったんオッカースゥスに戻った。
放心状態のミカゲをそのままにしておくのも忍びなかったし、何よりも彼は行く所が無かったからだ。
「どうやら、ヒウリの言ったとおりのようだな」
「どういうことです?」
「一番、危ないのはオリエーンスだと、言っていた」
サキは極力冷静な声で告げた。
苦しそうな顔でミカゲは息を吐いた。
体中から空気が抜けるかと思うような、長いため息だった。
「時間が、戻せるなら良いんですけど……無理ですよね」
苦笑して、顔を上げる。
疲れの色が濃いものの、普段と変わらないように気を使っているのがよくわかる。
けれど隠せない、哀しみにくれた瞳。
「……ミカゲ……」
「私は、大丈夫です」
「説得力が無いよ、そんなこと言われても。……今日はもう寝よう。どうするのかは、明日考えよう」
のどが渇いたのでサキはベッドから置きだし、台所まで行く。
コップに水を注ぎ、何気なく窓の外を見る。
何か動くものがあった。
なんだろうと目を凝らすと、それはミカゲだった。
眠れないのか。
無理もないだろうと水を飲み干し、その場を離れる。
歩いていくと中庭に出た。
自室に戻るつもりだったのにと、きびすを返しかけたとき、ふと目の端に動くものを捉えた気がしてそちらを見る。
黒い、何か。
疑問に思って近寄ると、それははっとしたように一瞬身を硬くし、すばやく茂みに入っていった。
「待て……!」
慌てて追いかける。
影に集中していた。
だから気づかなかった。
背後にレイラがいたことに。
放心状態のミカゲをそのままにしておくのも忍びなかったし、何よりも彼は行く所が無かったからだ。
「どうやら、ヒウリの言ったとおりのようだな」
「どういうことです?」
「一番、危ないのはオリエーンスだと、言っていた」
サキは極力冷静な声で告げた。
苦しそうな顔でミカゲは息を吐いた。
体中から空気が抜けるかと思うような、長いため息だった。
「時間が、戻せるなら良いんですけど……無理ですよね」
苦笑して、顔を上げる。
疲れの色が濃いものの、普段と変わらないように気を使っているのがよくわかる。
けれど隠せない、哀しみにくれた瞳。
「……ミカゲ……」
「私は、大丈夫です」
「説得力が無いよ、そんなこと言われても。……今日はもう寝よう。どうするのかは、明日考えよう」
のどが渇いたのでサキはベッドから置きだし、台所まで行く。
コップに水を注ぎ、何気なく窓の外を見る。
何か動くものがあった。
なんだろうと目を凝らすと、それはミカゲだった。
眠れないのか。
無理もないだろうと水を飲み干し、その場を離れる。
歩いていくと中庭に出た。
自室に戻るつもりだったのにと、きびすを返しかけたとき、ふと目の端に動くものを捉えた気がしてそちらを見る。
黒い、何か。
疑問に思って近寄ると、それははっとしたように一瞬身を硬くし、すばやく茂みに入っていった。
「待て……!」
慌てて追いかける。
影に集中していた。
だから気づかなかった。
背後にレイラがいたことに。
その何かは足が速かった。
全力で走っているのに、なかなか差が縮まらない。
身長から見て子供のはずだ。
胸のあたりまでしかない。
そこまで考えたとき、ふとサキは首をひねった。
いつだか、自分は同じことを考えなかったか?
その答えは出なかった。
小さい影を見失わないように必死に走る。
街から遠ざかっていることに気づいたのは、だいぶ経ってからだった。
膝まである草原の中を、黒い影目指して走る。
わずかな月明かりの下で走っている自分がなにやら滑稽に思えてきた頃、延ばした手がマントの裾を掴んだ。
走っていたサキは急に止まれず、その影を押さえ込む形で倒れる。
肩で息をしながら何とか身体を起こす。
「……離せ」
乱れた呼吸で影がしゃべる。
思ったよりも細いその身体に驚きながら、サキがこたえる。
「逃げないなら……捕まえないさ……!」
収まらない呼吸の乱れに深く息を吸いながら答えると、影は深く息を吐いた。
「……わかった。だから、退いてくれ」
おとなしくサキが退くと、影は身を起こした。
「乱暴なことをする……」
ため息とともに言われ、サキは視線を険しくした。
「お前が逃げるからだろう」
「追いかけられたら誰だって逃げる」
身体についた草を払い、影はサキを見据えた。
見たこともない金の瞳。
鮮やかな。
しばらく沈黙が落ちた。
「……で、何で追いかけたんだ」
問われて、サキは自分が何故追いかけたのだろうと考えた。
「まさか、理由がないとか言うのか……?」
げんなりとした表情で、けれど瞳はまっすぐこちらを見たまま影が言う。
その表情にサキは何かが自分の中で動くのを感じたが、それはほんの一瞬で消えてしまったので掴むことはできなかった。
「……そうだ、あのことを聞きたい」
不意に呟いたサキに、怪訝な顔で見返す。
「世界のことを」
全力で走っているのに、なかなか差が縮まらない。
身長から見て子供のはずだ。
胸のあたりまでしかない。
そこまで考えたとき、ふとサキは首をひねった。
いつだか、自分は同じことを考えなかったか?
その答えは出なかった。
小さい影を見失わないように必死に走る。
街から遠ざかっていることに気づいたのは、だいぶ経ってからだった。
膝まである草原の中を、黒い影目指して走る。
わずかな月明かりの下で走っている自分がなにやら滑稽に思えてきた頃、延ばした手がマントの裾を掴んだ。
走っていたサキは急に止まれず、その影を押さえ込む形で倒れる。
肩で息をしながら何とか身体を起こす。
「……離せ」
乱れた呼吸で影がしゃべる。
思ったよりも細いその身体に驚きながら、サキがこたえる。
「逃げないなら……捕まえないさ……!」
収まらない呼吸の乱れに深く息を吸いながら答えると、影は深く息を吐いた。
「……わかった。だから、退いてくれ」
おとなしくサキが退くと、影は身を起こした。
「乱暴なことをする……」
ため息とともに言われ、サキは視線を険しくした。
「お前が逃げるからだろう」
「追いかけられたら誰だって逃げる」
身体についた草を払い、影はサキを見据えた。
見たこともない金の瞳。
鮮やかな。
しばらく沈黙が落ちた。
「……で、何で追いかけたんだ」
問われて、サキは自分が何故追いかけたのだろうと考えた。
「まさか、理由がないとか言うのか……?」
げんなりとした表情で、けれど瞳はまっすぐこちらを見たまま影が言う。
その表情にサキは何かが自分の中で動くのを感じたが、それはほんの一瞬で消えてしまったので掴むことはできなかった。
「……そうだ、あのことを聞きたい」
不意に呟いたサキに、怪訝な顔で見返す。
「世界のことを」
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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