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2012/02/05 (Sun)
 とりあえず3人はいったんオッカースゥスに戻った。
 放心状態のミカゲをそのままにしておくのも忍びなかったし、何よりも彼は行く所が無かったからだ。

「どうやら、ヒウリの言ったとおりのようだな」
「どういうことです?」
「一番、危ないのはオリエーンスだと、言っていた」
 サキは極力冷静な声で告げた。

 苦しそうな顔でミカゲは息を吐いた。
 体中から空気が抜けるかと思うような、長いため息だった。
「時間が、戻せるなら良いんですけど……無理ですよね」
 苦笑して、顔を上げる。
 疲れの色が濃いものの、普段と変わらないように気を使っているのがよくわかる。
 けれど隠せない、哀しみにくれた瞳。
「……ミカゲ……」
「私は、大丈夫です」
「説得力が無いよ、そんなこと言われても。……今日はもう寝よう。どうするのかは、明日考えよう」


 のどが渇いたのでサキはベッドから置きだし、台所まで行く。
 コップに水を注ぎ、何気なく窓の外を見る。
 何か動くものがあった。
 なんだろうと目を凝らすと、それはミカゲだった。
 眠れないのか。
 無理もないだろうと水を飲み干し、その場を離れる。

 歩いていくと中庭に出た。
 自室に戻るつもりだったのにと、きびすを返しかけたとき、ふと目の端に動くものを捉えた気がしてそちらを見る。

 黒い、何か。

 疑問に思って近寄ると、それははっとしたように一瞬身を硬くし、すばやく茂みに入っていった。
「待て……!」
 慌てて追いかける。

 影に集中していた。
 だから気づかなかった。

 背後にレイラがいたことに。
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