小説用倉庫。
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「アザミ、どうだ?」
かすかに笑いを含んだ声で、彼が問う。
「ええ、ほぼ予定通りですわ」
「しかし、よく考えつくものだな」
「そうですか?」
鮮やかに笑んで、首を傾げた。
つと、机に乗ったろうそくの炎に近寄る。
「もうすぐ……もうすぐですわ」
それは。
唯、ひとりのために。
「レイラ、ちょっといいか?」
朝早く、サキはレイラの所に行った。
サキにとっては早いが、レイラにとってはそんなに早い時間でもない。
予想通りすでに起きていた彼女は、サキの声に肩を大きく震わせてふり返った。
「……サキ様……? 何ですか?」
「……? いや、少し、付き合って欲しいところがあるんだ」
「どこかへ、行くのですか?」
ぎこちない笑みを浮かべて問うレイラを見て内心首を傾げながら、サキがいう。
「……メリーディエースを、見てみたいんだ。どうなったのか」
「わかりました。今日の、この書類を片付けたら、行きましょう」
レイラはいつもの表情に戻って、手にした書類を渡した。
「これは、酷いな……」
絶壁の上に立って、サキは下を見下ろした。
すでにそこは大地のあった名残すらなく、眼下に青く光る海が広がるばかりだった。
今サキの立っているところも、ともすれば崩れそうに脆い。
何事もなかったかのように沈黙する大地。
「レイラ……」
もう帰ろうと言いかけたところで、突然揺れが襲った。
「サキ様!!」
地震の中で袖を引っ張られて地面に倒れこむ。
何とか先ほどまで立っていたところを見ると、すでにそれは音を立てて海に落ちていくところだった。
「もう少し、こちらへ……!」
立ち上がることもできない揺れの中で、それでも何とか安全だと思えるようなところまで這っていく。
徐々に、大地が崩れていく。
それを目の当たりにして、サキは視線をそらすことができなかった。
しばらくして揺れは収まった。
昨日と、同じような時間の間隔。
不安が胸を竦ませる。
「まさか……」
ヒウリの言葉を思い出す。次に危ないのは……。
「レイラ、オリエーンスに寄って行こう」
青ざめた顔で言うサキに、同じくらい顔を青くしたレイラが頷いた。
かすかに笑いを含んだ声で、彼が問う。
「ええ、ほぼ予定通りですわ」
「しかし、よく考えつくものだな」
「そうですか?」
鮮やかに笑んで、首を傾げた。
つと、机に乗ったろうそくの炎に近寄る。
「もうすぐ……もうすぐですわ」
それは。
唯、ひとりのために。
「レイラ、ちょっといいか?」
朝早く、サキはレイラの所に行った。
サキにとっては早いが、レイラにとってはそんなに早い時間でもない。
予想通りすでに起きていた彼女は、サキの声に肩を大きく震わせてふり返った。
「……サキ様……? 何ですか?」
「……? いや、少し、付き合って欲しいところがあるんだ」
「どこかへ、行くのですか?」
ぎこちない笑みを浮かべて問うレイラを見て内心首を傾げながら、サキがいう。
「……メリーディエースを、見てみたいんだ。どうなったのか」
「わかりました。今日の、この書類を片付けたら、行きましょう」
レイラはいつもの表情に戻って、手にした書類を渡した。
「これは、酷いな……」
絶壁の上に立って、サキは下を見下ろした。
すでにそこは大地のあった名残すらなく、眼下に青く光る海が広がるばかりだった。
今サキの立っているところも、ともすれば崩れそうに脆い。
何事もなかったかのように沈黙する大地。
「レイラ……」
もう帰ろうと言いかけたところで、突然揺れが襲った。
「サキ様!!」
地震の中で袖を引っ張られて地面に倒れこむ。
何とか先ほどまで立っていたところを見ると、すでにそれは音を立てて海に落ちていくところだった。
「もう少し、こちらへ……!」
立ち上がることもできない揺れの中で、それでも何とか安全だと思えるようなところまで這っていく。
徐々に、大地が崩れていく。
それを目の当たりにして、サキは視線をそらすことができなかった。
しばらくして揺れは収まった。
昨日と、同じような時間の間隔。
不安が胸を竦ませる。
「まさか……」
ヒウリの言葉を思い出す。次に危ないのは……。
「レイラ、オリエーンスに寄って行こう」
青ざめた顔で言うサキに、同じくらい顔を青くしたレイラが頷いた。
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