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2012/02/05 (Sun)
「そういえば、彼はなぜ私を王と呼んだのだろう」
 話題を変えようと、フォリィアが話を振る。
「……王ではないの?」
 不思議そうな顔をして、首をかしげる。
「……言っただろう。私は王位継承者であって、王ではないのだ」
「……ひとりめって……」
「城に入る前に会ったあいつが、第2王位継承者だ」
 嫌そうに吐き捨てる。

 城に、入る前。
 首をかしげて、そういえば人に会ったと思い出す。
「……ルーク、って、いう人……?」
「そうだ。私の、弟だ」
 苦虫を噛み潰したように言われた言葉に、エディウスは驚く。

 どう見ても、ルークのほうが背が大きかった。
 兄弟だとは思わなかったけれど。

「不思議に思うだろう。あれでも50歳の差がある」
 なのに、ルークは普通に成長して。
 自分は成長が止まってしまっている。

「……ちょっと、いいかな……」
 ふと、エディウスはフォリィアの頬に手を当てた。
 思ったより冷たい手に、フォリィアは驚く。

 エディウスは小さく魔法を唱えた。
 当てた手が淡く輝く。

「……うわッ!」

 突然その手が熱くなり、弾けるような音がした。
 フォリィアは驚いて声をあげ、身を引く。
「なんだ、今のは!」
 当てていた手をじっと見たまま、エディウスは答えない。

「フォリィア様! どうしました!?」
 扉の外から何人かの足音と、声がした。
 フォリィアはそちらを見て声をあげる。
「なんでもない。大丈夫だ」
 その声で、扉の外から人の気配が遠ざかって行った。
「おい、今のは何なんだ。火傷するかと思ったぞ」
 頬に手を当て、けれど何ともなっていないことに驚く。
「……魔法……。なんだろ……」
 ぽつりと呟き、フォリィアを見る。
 じっと、フォリィアがたじろぐほどに真っ直ぐ見つめた。
 そのまま時間がすぎる。
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