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2012/02/05 (Sun)
 ふいに、ルシェイドはああ、と言って手を叩いた。
「それより、エディウスに言うことがあって来たんだよ」
「……何?」

「リーヴァセウスが死んだよ。……ついさっきね。今度はグラディウスが、王になった。これを知らせようと思って」

 にっこりと笑って。
「そう……」
「それじゃ。ああ、そうそう。人間は、人界から出ることはできないよ。……そういう、決まりなのさ」
「おい、それはどういう……」
 皆まで言い終わらないうちに、ルシェイドの姿は霞となって消え失せた。

 困惑した表情でフォリィアはエディウスを振り返る。
「あいつは何なんだ?」
「……ルシェイド、と。……確か……ミッシュローア……に、記述があったと、思う……」
 顎に手を当てて考えこむ。
「……ルシェイドねぇ。あいつのおかげで分からないことが増えたぞ」
 憤慨したようにソファに座る。


 それから数時間、フォリィアはさまざまな質問を繰り出した。
 外が暗くなりはじめたことにも気づかない。
「で、そいつが死んだから、そのグラディウスっていうやつが、魔界の王になった、と。そういうことか」
 視線を落としてエディウスは答えない。
「……そいつと知りあいだったのか」
「……ぼくの、母が死んだ時に、……」
 そしてまた黙り込む。

 フォリィアはソファに深く腰掛けて、エディウスを見ていた。
 表情の乏しい彼からは、その悲しみの深さも、ほとんど分からない。
 溜息を吐いてフォリィアはお茶を注ぎ足した。
「まぁ、大体のところは分かった。……魔界の王は分かったが、神界の王は誰なんだ?」
 ふと思いついたように問いかける。
 エディウスはきょとんとした顔で、自分を指差す。
「……まさか、君なのか?」
 こくんとうなずく。
「……母から、受け継いだんだ……。一応神界で一番力が、強かったから……」
「そうか」
 俄かには信じられないというような表情で下を向く。
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