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2012/02/05 (Sun)
 表情を改めて、彼は扉に視線を向けた。
「ツェリーシュ! そこにいるか?」
「はいー! なんですかー?」
 少し遠くからバタバタと足音が聞えてきた。

 扉の前で止まると、勢いよく開いた。
 息を少し切らしてツェリーシュが入ってくる。

「おまえ、この料理誰が作ったか知ってるか?」
「えーと、確かベルナさんが作ったと思いますよ」
「……ベルナか……」
「どうかしたんですか?」
 腕を組んで下を向いたフォリィアに、怪訝そうにツェリーシュが問う。
 そんな彼を一瞥して、溜息を吐く。
「ツェリーシュ、この料理は誰に渡された?」
「ミナヴァスさんですけど……なんか変な味がしたとか、ですか?」
「……」
「何か答えてくださいよぅ」
「……いや、知らないなら、いいんだ……」
 何だか無性に疲れた気がして、フォリィアが力なく呟く。
「この料理が何かしたんですか?」
「料理が何かするわけないだろ。……そうじゃないから」
 なおも釈然としない感じでその場に立ち尽くす。
「……ベルナ……って?」
 聞き慣れない名前を聞いて、エディウスが問いかける。
「この城の料理長さんです!」
 口を開いたフォリィアを遮るように、ツェリーシュが勢いよく答えた。
「ちなみにミナヴァスさんはルーク様の従者です」

「それがなんで私の料理を持ってくるんだ?」
「……そう言われれば、変ですねぇ」

 呑気に言われて、フォリィアは顔を覆った。
「……じゃあ、これ食べれないんですか?」
「食べられないことはないが……どうだろうな」
「それじゃあ、ベルナさんに言って作って来てもらいますね!」
「え、おい……!」

 言い終わらないうちに、ツェリーシュは出ていってしまった。
「……人の、話をあまり、聞かない人だね……」
 複雑な顔をしてフォリィアは答えなかった。
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