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2012/02/05 (Sun)
「ルシェイド! ディリク! いるのか!?」
 式が終わって自室に帰ったとたん、フォリィアは声をはりあげた。

 人払いは済ませてある。
 父王の話が一向に進まず、的を得ない言葉ばかりを言うので時間を食ってしまった。すでに日は落ちてしまっている。

 ゆらりと、何もない空間から現れたのはディリクだった。
「……何だ」
「ルシェイドは? エディウスは、どうしたんだ」
 彼しか現れなかったために、困惑しながらも問いただす。
 ディリクはため息をついて目を伏せる。
「エディウスはルシェイドが助ける。心配しなくていい」
「どういうことなんだ。何故、ルークが……明らかにいつもの彼ではなかった」
「本来ありえなかった。……あってはならなかった。ルークが乱心し、エディウスを、……おまえを刺そうとするなど」
 言いにくそうにしているディリクに、フォリィアがため息をつく。
「ありえなくても、起きたことは事実だろう。……どうなんだ」

「そんなに彼を責めてくれるなよ」
 ためらうディリクに代わって答えた声は、ルシェイドのものだった。
「ルシェイド!?」
 ディリクが驚きの声をあげる。
 あまり感情を覗かせない彼にしてみれば珍しいだろう。
「エディウスなら心配は要らない。今は神界の居城にいる」
「神界って……」
「彼は王だ。そんなに不安がるなって」
 軽く笑って言うが、フォリィアには普段とは違うように感じられた。
 表情をうまく隠しているが、それは。

「……そんなに疲れるほどの傷なのか?」
 声を少し低くして問うと、ルシェイドは驚いたように目を見開いてこちらを見てきた。
 ディリクも同様に驚いてルシェイドを見ている。
「すごいな。何でわかったの。……まぁ、疲れはしたけど、……僕もまだまだ甘いって事かなぁ」
「どういうことだ」
 フォリィアは厳しい顔でつぶやいた。
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