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2012/02/05 (Sun)
 一瞬何とも言えない顔でルシェイドはディリクと顔を見合わせると、フォリィアに向き直る。
 常には見せない、真剣な表情。
「気づかなかったんだ。その事は詫びる。……ルークを狂わせたのはまがい物だよ……魔法の力だ」
 通常魔法を使える者は少ない。
 素質の無いものでも使えるような魔法のようなものは、まがい物として裏で密やかに流れていた。
 だがまがい物だとしても、使えないものからすればその効果は絶大だ。
「何故……」
「まがい物を使う者に心当たりは?」
「あるにはあるが……理由がわからない」

 すべて把握しているわけではないが、そういった物を好む者は、この城に一握りしかいない。
 それらはほとんどすべてが、ルークを即位させようとしていた連中だった。
 だから理由がわからない。
 何故ルークを使ったのか。
 兄を殺して王位を得る為であれば成る程、と思うが、まがい物はそれ故にリスクが高い。
 下手をすれば使い物にはならなくなるだろう。

 重い沈黙が支配する。
 フォリィアはため息をつくと、ルシェイドを見た。
「ルークを、治せるか?」
 つっかかってばかりの弟だが、嫌いでも憎いわけでもない。
 ただ、馬鹿だな、と思うだけだ。
「……それも難しいだろうね。やってやれないことはないだろうけど……」

「どうしてそう曖昧な答えしか返せないんだ!」

 難しい顔をするルシェイドに、フォリィアが怒鳴る。
「フォリィア……」
 狂ったようなルーク。
 倒れてしまったエディウス。
 そして魔法の力。
 フォリィアは純粋な魔力は使えない。
 まがい物の知識も、あるとは言い難い。

 だからわからない。
 どうすればすべてもとに戻るのか。
 それとも。
 戻らないのかさえ。

「出来るか出来ないかを聞いているんだ! それとも答えられないことなのか!?」
「……フォリィア!」
 たしなめるようにディリクが声を出す。
「……いいよ、ディリク」
 ため息混じりにルシェイドが手を振る。
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