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2012/02/05 (Sun)
「何の用ですか、こんな時間に……!」
 突然に部屋に入ってきたフォリィアを見て、部屋の主たちは慌てたようにふり返った。

 部屋の中央の椅子に3人、窓際に1人。
 そのうちのひとりが持っていたカップを落としてしまう。
 カシャン、と、陶器の割れる音が響いた。
 けれどそれを咎める者はいなかった。

「ルシェイド、彼らだ」

 背後に声をかける。
 顔を見せたルシェイドに、部屋の主たちは戸惑いを隠せない。
 あたりまえだろう。
 主であるフォリィアよりも小さい者が、悠々と姿を現したのだから。
「フォリィア様、一体どうしたというのです。そちらの方は……」
 じっとルシェイドは彼らを見つめ、小さくフォリィアに呟いた。
「……窓際にいる彼以外の3人」
「ちょっと来てくれるか」
 無造作にフォリィアが言う。
「ですから、何故です。こんな夜中に。せめて訳を教えてくださいませんか」
「それは自身でわかっていることと思うが?」
 冷たく突き放すように言うと、彼らは一様に口をつぐんだ。
 心当たりでも、あるのだろう。

 その時、窓際にいた青年が動いた。
 ルシェイドが除外した者だ。
「あの、どうかしたんですか?」
「ああ、おまえはいい」
「ちょっとお待ちください。一体何なんですか!」
 3人の中で一番年かさの人物がフォリィアに異を唱える。
 ルークの、従者であるミナヴァスだった。
「良いからおまえらは来い」
 表情を険しくさせて再度言う。
 けれど彼らは顔を見合わせたまま動かない。

 その時ルシェイドが腕を一振りした。
 不意に彼らはギクシャクと歩き出す。
「この方が早い」
「……何をした」
「身体の自由を奪って傀儡にする術。意識は残してあるけど」
 低く問いただしたフォリィアに、ルシェイドは何でもないことのようにさらりと言ってのけた。
「……魔法って便利なんだろうな」
 腑に落ちないような顔をして、フォリィアが呟く。
「使えるものは使ったほうがいいでしょ。……もちろん、限度はあるけどね」
 そう言って、ルシェイドは3人を引き連れて部屋から出た。
「おまえはもう自室に帰れ」
 フォリィアは窓際に残った青年に言い残すと、扉を閉めた。
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