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2012/02/05 (Sun)
 ふかふかした布の手触り。
 目蓋に触れるのは柔らかな光。
 緩やかな時間が過ぎていく感覚。
 久しぶりに良く寝ていた気がする。
 うん、と伸びをして、ルシェイドは目を開けた。

「何だ、起きたのか?」
「……? 何でフォリィアがいるのさ?」
 目に入った金の光に向かって疑問を投げる。
 かすれた視界を何度か瞬きしてはっきりさせ、視線を向けた。

 帰ってきたのは怪訝そうな答え。
「ここは私の部屋だ。居たら悪いか」
「……ああ、そうだっけ」
 頭を振って周りを見る。
 確かにそこは日ごろ見慣れた場所ではなく、ヴァイサーシアーの大陸、そこを治める現界の王の部屋だった。
 ある意味では、とても見慣れた部屋ではあるのだけれど。
 ふと視界の隅に入ったものを見て、ルシェイドはフォリィアに問い掛ける。
「ディリク、どうしたの?」
 フォリィアは徐にディリクの側に行くと、ずり落ちた掛け布を直してやる。
 緩く寝息を立てるだけで、身動きひとつしない。
「お前と同じだ。ただし、こいつのほうが体力が無かったようだが?」
「まるで僕が怪物並みの体力持っているような言い方だね」
 違うのか、といわんばかりの表情で、ルシェイドを見る。
「まぁ魔法なんぞ使えないからな。よくわからん」
 ぶっきらぼうに答えるが、ルシェイドが起きたことにほっとしながら机の上に載った書類を手に取る。
 未処理はあと少しだ。

「ディリク、起きろー」
 ルシェイドが呼びかけるが、ディリクはぴくりとも動かない。
 此処に運んで、横たえた時と同じ状態だ。
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