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2012/02/05 (Sun)
 音を立ててドアを開ける。
 だんだん立て付けが悪くなってきている気もするが、とりあえず支障はない。
 中には樹雨以外姿が見えなかった。
 やはり昼飯かと思いつつ中に入る。

「よぅ、樹雨。調子はどうだ?」
「たまにお前のその能天気さが羨ましいよ」
 半眼で言うが、聞こえなかったのか踏青は樹雨の方を向いている。

「……樹雨? お前が?」
 聞こえた声は背後から。
 振り返ると、きつく睨みつけているルシェイドがいた。

「やっぱ大当たりか?」
 それには答えず、ルシェイドは大股に部屋に入ってくる。
 樹雨が目を見開く。

「あなたは……!」
「……何故、こんなところにいるんだ」

 押し殺したような声。
 どんな感情で今喋っているのか。
 それもよくわからないほど、たくさんの思いがある気がする。

 樹雨は驚いていた表情を引き締めて、震える声で言った。
「彼に……会わせて下さい」
「……彼? 探し人の?」
 呑気に踏青が口を挟む。
 とりあえずそれを殴って黙らせて、二人の会話に耳をそばだてる。

「彼はいない」
「ではどこに……! どこにいるというのです!」
「探してどうするんだ」
「聞きたいことが……私は彼に聞かなければならないことがあるのです」
 決意を秘めた声。
 痛ましげな包帯がなんともいえない。
 片目の代償をはらって、樹雨はたぶん、何も得ることはできないだろうに。

「無理だよ……彼は、もういない」
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