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2012/02/05 (Sun)
 途中何度か休憩を入れながら歩いたが、ついにその日は村にたどり着けなかった。
 日が暮れてきたので火を起こすための木切れを拾いに森に入る。
 拾っているうちに、気がつけば足元すら見えない程に暗くなってきていた。
 ある程度まで拾い終えたので、そのままきびすを返してもと来た道を引き返す。

 と、途中で何かに躓いた。
 その拍子にせっかく拾った木切れを地面にばら撒いてしまう。
 何を踏んだのだろうと足で探ると、それはなにやら柔らかかった。
 疑問に思って手で触れてみる。
 布の感触。
 さらりとした髪。
(髪?)
 わずかな月明かりのあたる場所までそれを引きずっていくと、それは人間だった。

 短い黒髪。
 幼い顔。
 まだ若い。
 少年といって良いほどの。

 とりあえずその場に置いておいて、さっきばら撒いてしまった木切れを拾いなおす。
 しばらくその作業をして、何とか集め終わったところで火を起こす。
 そのまましばらくは炎だけを見ていた。

 ふと、その少年が身じろぎした。

「……?」

 炎の照り返しを受けたその顔は、目を開いてもやはり幼く見えた。
 赤に負けないほどに鮮やかな緑の瞳。
「……ここは……? あんた、誰だ……?」
 思ったよりも低い声に多少驚く。
 少年は頭に手を当ててうつむいた。
「……そうか、……助けてもらったんだな。礼を言うよ」
 そしてまっすぐにこちらを見る。

「俺の名前はアィル=ディーン=ウィステリアス。ここから南にある村に住んでるんだ」
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