小説用倉庫。
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「……いいかげん、認めてしまえば楽になると、思わないか?」
ため息とともに言われた静かな声に、サキは顔をあげた。
視線の先にはアンスリウムがいる。
部屋に入ったときから動いていない。
静かだった。
ほとんど何の音もしない。
そこには確かに生者がいるはずなのに。
それは不自然なほどの。
静寂。
「……なんで……」
「そういう運命だった。違うか……?」
淡々と言うアンスリウムを睨む。
「運命だと……!?」
「そうだ」
頷いた彼の口の端から、血が流れた。
「どうしたんだ……?」
アンスリウムは口元に手をやると、はげしく咳き込んだ。
とたんに大量の血が流れ出す。
「どうもこうもない。……そういう、ものなんだ」
「まさか、それでアザミも……」
青ざめた顔で聞いてくるサキに、アンスリウムは頷いた。
心持ち先ほどよりも顔色が悪くなってきている。
「中央の国を通ってきたか?」
問いに首を横に振ることで答える。
反対方向から来たため、サキ達は街の様子をうかがうことはできなかったのだ。
「国の住民は皆死んだ」
「死んだ? 何故」
その問いに、アンスリウムはアザミを見た。
動かない彼女を。
「原因は知らない。ただ、突然に身体の各部が落ちるのだ」
それは冷酷なほど簡単に。
手が、脚が、首が落ちる。
「調べてみたらほとんどの組織が腐っていた。……治す術を見つけれられず、皆が……」
組織が腐るから落ちるのだという。
中身だけが腐る場合も。
その症状は様々だ。
アンスリウムは何かに耐えるかのように目をきつく閉じた。
国を襲った出来事は塔の内部にまで及び、すでに残っているのはアンスリウムただひとりとなっている。
けれどそれも、もう。
「何で……、ここには、神がいるんじゃないのか……?」
だから何があっても平気なのではないかと。
呟きにアンスリウムが嘲笑う。
「神などいない。少なくとも、ここには」
でなければ滅びることなど。
あっていいはずがない。
「……できれば苦しませたくはなかった。この病は……辛いから」
伝えられた言葉。
伝承。
それをもとに、大地を落せるのかと。
自身がそれをやるには、この場所から離れなくてはならなかった。
病の広がりが早くなるかもしれない。
そんな危険は冒せない。
「どうして……!」
声を震わせてサキが言うと、アンスリウムは目を閉じた。
「もう時間がない」
ため息とともに言われた静かな声に、サキは顔をあげた。
視線の先にはアンスリウムがいる。
部屋に入ったときから動いていない。
静かだった。
ほとんど何の音もしない。
そこには確かに生者がいるはずなのに。
それは不自然なほどの。
静寂。
「……なんで……」
「そういう運命だった。違うか……?」
淡々と言うアンスリウムを睨む。
「運命だと……!?」
「そうだ」
頷いた彼の口の端から、血が流れた。
「どうしたんだ……?」
アンスリウムは口元に手をやると、はげしく咳き込んだ。
とたんに大量の血が流れ出す。
「どうもこうもない。……そういう、ものなんだ」
「まさか、それでアザミも……」
青ざめた顔で聞いてくるサキに、アンスリウムは頷いた。
心持ち先ほどよりも顔色が悪くなってきている。
「中央の国を通ってきたか?」
問いに首を横に振ることで答える。
反対方向から来たため、サキ達は街の様子をうかがうことはできなかったのだ。
「国の住民は皆死んだ」
「死んだ? 何故」
その問いに、アンスリウムはアザミを見た。
動かない彼女を。
「原因は知らない。ただ、突然に身体の各部が落ちるのだ」
それは冷酷なほど簡単に。
手が、脚が、首が落ちる。
「調べてみたらほとんどの組織が腐っていた。……治す術を見つけれられず、皆が……」
組織が腐るから落ちるのだという。
中身だけが腐る場合も。
その症状は様々だ。
アンスリウムは何かに耐えるかのように目をきつく閉じた。
国を襲った出来事は塔の内部にまで及び、すでに残っているのはアンスリウムただひとりとなっている。
けれどそれも、もう。
「何で……、ここには、神がいるんじゃないのか……?」
だから何があっても平気なのではないかと。
呟きにアンスリウムが嘲笑う。
「神などいない。少なくとも、ここには」
でなければ滅びることなど。
あっていいはずがない。
「……できれば苦しませたくはなかった。この病は……辛いから」
伝えられた言葉。
伝承。
それをもとに、大地を落せるのかと。
自身がそれをやるには、この場所から離れなくてはならなかった。
病の広がりが早くなるかもしれない。
そんな危険は冒せない。
「どうして……!」
声を震わせてサキが言うと、アンスリウムは目を閉じた。
「もう時間がない」
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