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2012/02/05 (Sun)
 中央に通じる橋を渡ると、空気の色が変わるのがわかる。

「ここが……。初めて来たよ」
 高くそびえ立つ塔を目の前に、皆が感嘆の色を隠せない。
 立ち止まった中でミカゲが一番早く歩き出した。

「……行きましょう。きっと……この中に」

 その声に含まれた何かに、サキは息を呑む。
 何かわからなかったけれど、それは嫌な予感のするものだった。
 レイラよりわずかに遅れて後に続く。

 消えない予感。
 不快な違和感が拭えない。

 思わず顔をしかめてしまい、レイラに見られて慌てて微笑む。
 彼女は少し困ったように首を傾げてから微笑んだ。
 綺麗な笑顔。
 ふたりで笑いあっている間に、ミカゲは先に進んでしまっていた。
 慌ててミカゲの後を追う。

 不意に歩みが止まった。

「どうしたんだ?」
 見ると、ミカゲの前で道が左右に分かれていた。
「……どっちかなぁ」
「こちらでは、ないでしょうか」
 レイラが先に立って歩く。
 今度はレイラを先頭に、ミカゲを挟んでサキが続く。

 入り組んだ塔だった。
 階段がたくさんあったり、道が3つに分かれていたり。
 ともすれば迷いそうなそこを、レイラは大して迷う様子も見せず進んでいく。
 途中大きな薄い布が上から何枚も垂れているところなどがあったが、皆何も言わなかった。

 なぜこうも簡単に進んで行けるのかサキは不思議に思うが、ミカゲはそんなこと考えもしないのか無言でレイラの後に続いていく。
「……レイラ」
 理由を聞こうと声をかけると、レイラが立ち止まった。

「……サキ様、つきました」

 そこは大きな扉の前だった。
 首が痛くなるほどの。
「……ここに?」
 レイラは答えず扉に手をかけた。

 それは音もなく左右に開く。
 大きいくせに何の音もしないことに首を傾げながら、サキはふたりに続いて中に入った。
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