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2012/02/05 (Sun)
「……あんた、それで良いの?」
「何が?」
 笑顔は変わらない。
 なのに、一瞬で空気が張り詰めた。

「ウォルファー」
 たしなめるように名前を呼ぶ。
 けれど彼はルシェイドを見たままだ。
 非難するような視線で。

「知り合いだったんだろ? それで良いのかよ!」
「……おい」

 ルシェイドは何も言わない。
 ただ、じっとウォルファーを見ているだけだ。
 笑顔を、貼り付けたまま。

「止めろ、ウォルファー」
「……でも!」
「止めろ、と言っているんだ」
 静かに繰り返す。
「お前は此処に何をしに来たんだ。ルシェイドに文句を言いにか」
「……っ……!」
 ウォルファーが言葉に詰まる。
 会って間もない相手に、そこまで感情移入することは無いだろうに。

「目的を忘れるな。俺たちは此処に城の者を探しに来たんだ。感傷は後にしろ」
 きっぱりと断言し、まだ何か言いたそうな二人をせかす。
 こんな事で、時間を食うわけにはいかない。
 なんとなく重たい空気のまま、先に進む。

 襲撃は何度かあったが最初に比べると全然楽で、大した問題も無かった。
 進むにつれ、周りは暗く、出てくる獣も異常になっていく。

「気をつけて」
 唐突に、それまで黙っていたルシェイドが言った。
「近いのか」
「多分……」
 問うと、彼にしては珍しく歯切れの悪い返答をした。
「……城の者が何処に居るか判るか?」
 危険にはあえて触れずに聞いてみた。
 ルシェイドは、うーんと首を傾げ、虚空を見つめて呟いた。
「……右の、奥、かな」
 断言されたわけではないが、他に道も無い。
 どこか悲しそうな表情が気になったが、俺たちは特に何も言わず、その方向に進んだ。
 もはや獣とさえ言えない生き物を倒しつつ、暫く進むと行き止まりになった。
 正面にある扉は、今まで延々と続いていた廊下にあった扉よりも、頑丈そうな造りをしている。
「この奥か」
 呟いて、扉に手をかける。
 鍵はかかっていないのか、扉は抵抗無く開いた。
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