忍者ブログ
小説用倉庫。
HOME 223  224  225  226  227  228  229  230  231  232  233 
2024/11/23 (Sat)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2012/02/05 (Sun)
 頭の中が白く弾けた。

 思考が停止する。
 身体の感覚は既に無く、俺はただの一声で無力化してしまった。
 目の前に居るはずのルシェイドの姿が見えない。
 目に映る景色は白く。
 左頬には堅く、冷たい感触。
 倒れているのだと理解するのに数瞬を要した。

 何だ、今のは。

「大丈夫?」
 いつもと大差ないルシェイドの声に、意識がはっきりする。
「あぁ」
 上半身を起こす。
 身体はまだ少し重い。
 頭がふらふらする。
「もろに食らってたらやばかったよ」
 見ると、ルシェイドはこちらに背を向けてそれと対峙していた。
 遮るように突き出した左手から、柔らかな薄い光が見える。
 あれで声を遮ったようだ。

「他の、連中は」
「離れてたから平気。少し鳥肌立つだろうけど」
 何でもないことのように言っているが、身体の脇に下げられた右手がきつく拳を握っている事に気がついた。

「……ルシェイド」
「彼らは平気。でも……」
 俺たちが大丈夫じゃないらしい。
 見れば徐々に、薄い光はさらに薄くなっていく。
「あれは何だ?」
 問うと、彼は唇をかみ締め、目を細めた。
「『何』という定義は無いよ。……ただ、見たままだ」

 淡々とした声音からは感情は窺えない。
 けれど。
「……あれも知り合いか」
 ルシェイドは答えない。
 しかし答えない、ということが何よりの答えになっていた。

「……ここは実験施設なんだよ。ライナート」
Comment
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Password
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
HOME 223  224  225  226  227  228  229  230  231  232  233 
HOME
Copyright(C)2001-2012 Nishi.All right reserved.
倉庫
管理者:西(逆凪)、または沖縞

文章の無断転載及び複製は禁止。
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
[長編] Reparationem damni  (03/12)
[長編] Reparationem damni  (03/12)
[長編] Reparationem damni  (10/19)
[長編] Reparationem damni  (10/19)
[長編] Reparationem damni  (09/07)
忍者ブログ [PR]
PR