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2012/02/05 (Sun)
 だが。

「この城を空にするわけにはいかないだろ」
 まだ残っている何人かは、城の守りを任せられるほど力が強くない。
「あの……私も居るんだけど……」
「お前は大人しくしてろ」
 控えめに挙手するリーヴァセウス黙らせると、ルシェイドが声をあげた。
「グラディウスが居るじゃない」
「……大丈夫なのか?」
 確か力は強いがコントロールに欠けるところがあった気がするんだが。
「平気平気。グラディウス、ちょっとおいで」
 ルシェイドが呼ぶと、グラディウスはウォルファーの腕から離れ、近寄ってきた。
 今はもう泣いていない。

「良いかい? 結界の維持の仕方は教えたね? これから僕達は出かけるから、帰ってくるまで誰も中に入れてはいけないよ。……お父さんを守らなくちゃね」
 不安げな表情をしていたが、最後の一言で俄然やる気が出たらしい。
「うん。俺がお父さんを守るから、安心して行って来てよ」
 誇らしげに言うグラディウスの頭を撫でて、ルシェイドが微笑う。
 ちらりと、悪戯をする子供のような表情で俺を見た。
 俺は不安を感じつつも、リーヴァセウスを振り返る。
「それじゃ、行ってくる」
「……気をつけて」
 不安そうな声に頷いて応え、ルシェイドに視線を戻す。
「ほら、さっさと場所を教えろ」
「うわ、何この扱いの差」

「あの!」
 扉へと歩き始めたところで、後ろから呼び止められた。
「何だ」
 まだ居たのか。
 怪訝そうな声音に怯みながらも、ウォルファーは声を張った。
「俺も行く!」
 予想はしていたのだろう、ルシェイドはあっさりと首を縦に振った。
「僕は構わないよ」
「……戦力になるのか?」
「此処に置いといても意味ないでしょ」
 ばっさりと切り捨てた後、彼は、それに、と続けた。

「置いていって、安心できる?」
 言われて言葉に詰まる。
 連れて行ったところで戦力になるかというより、置いていく危険性を考えると、連れて行ったほうがまだましということか。
 声を押さえなかったので会話は相手に丸聞こえだ。
 少し情けない顔をしながらも、こちらの返事を待っている。
 俺は溜め息をついて、唇の端を持ち上げた。
「……わかったよ。ついて来い」
 許可すると、表情が明るくなった。
 急いで鎌を持ってくる。
 やれやれ、と思いつつ、二人を残して部屋を出た。

「ところで君、名前は?」
 部屋を出たところでルシェイドが聞く。
 そういや紹介してなかったっけか。
「ウォルファー」
「そう。よろしく」
 笑顔でルシェイドが手を差し出し、戸惑いながらウォルファーも返す。
 ぐ、と手を握ったところで、ルシェイドは空いたほうの手で俺の服の裾を掴んだ。
「ちょっと遠いから、このまま跳ぶよ」

「は? ちょっと待……ッ」
 思わずあげた抗議の声は、突如歪んだ空間に飲み込まれた。
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