小説用倉庫。
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「ルシェイド! 『止めろ』ッ!」
ルシェイドがびくりと動きを止める。
彼の魔法耐性はかなり高いので、完全に炎の魔法を止める事は出来なかったが、まだ発動はしていない。
壁の模様も完全に効果を発揮する前だ。
ほっと安堵の息を吐いた途端、獣が飛び掛ってきた。
舌打ちをして、袖に隠してある短剣を投げつけた。
耳障りな声をあげて倒れる獣を横目に、周囲を確認する。
獣たちの幾匹かは既にウォルファーの足元に倒れていた。
残りの獣も見事に捌いている。
あの分なら心配は無いだろう。
ルシェイドに向かった獣を薙ぎ払い、群がる獣を叩き伏せていく。
彼は接近戦には向かない。
魔力に特化した分、腕力は弱い。
見た目相応、と言ったところか。
ルシェイドは炎の残滓を腕に巻きつかせたまま、俺達の戦闘を見ていた。
獣の数を見て少してこずるか、と思ったが、意外と早く片付いた。
思ったよりウォルファーが強かった所為だろう。
軽く肩で息をしているが、まだ余力はありそうだ。
「意外とやるんだな」
「……」
声をかけるが、何か言いたそうに視線をさまよわせている。
「何だ」
促すと、視線を獣に当てて、口を開いた。
「いや、あんた素手なのに強いなと思って」
「……あぁ、お前にはそう見えるのか。言っておくが俺は素手じゃないぞ」
ぽかんとした表情のウォルファーに、肩を竦めてみせる。
あえて手の内を明かす必要もない。
明かしていい武器でもないしな。
視界の隅で何かが動いた。
見るとルシェイドが獣の傍らに膝をついていた。
「汚れるぞ」
一応声をかけるが、答えは無い。
背を向けているので表情は見えない。
「……知り合いか」
獣に触れる手つきが優しくて、ついそう聞いていた。
「……昔、町にいた子だよ」
ぽつりとルシェイドが呟く。
「少し、臥せりがちだったけど、良い子でね……」
はぁ、と大きく溜め息を吐くと、何かを振り切るかのように勢いよく立ち上がる。
「さ、行こうか。まだもう少し先だから、こんな所でぐずぐずしているわけにもいかないからね」
じっと表情を見つめる。
いつもの笑顔。
だけど。
目は、笑っていなかった。
ウォルファーが、一歩踏み出す。
ルシェイドがびくりと動きを止める。
彼の魔法耐性はかなり高いので、完全に炎の魔法を止める事は出来なかったが、まだ発動はしていない。
壁の模様も完全に効果を発揮する前だ。
ほっと安堵の息を吐いた途端、獣が飛び掛ってきた。
舌打ちをして、袖に隠してある短剣を投げつけた。
耳障りな声をあげて倒れる獣を横目に、周囲を確認する。
獣たちの幾匹かは既にウォルファーの足元に倒れていた。
残りの獣も見事に捌いている。
あの分なら心配は無いだろう。
ルシェイドに向かった獣を薙ぎ払い、群がる獣を叩き伏せていく。
彼は接近戦には向かない。
魔力に特化した分、腕力は弱い。
見た目相応、と言ったところか。
ルシェイドは炎の残滓を腕に巻きつかせたまま、俺達の戦闘を見ていた。
獣の数を見て少してこずるか、と思ったが、意外と早く片付いた。
思ったよりウォルファーが強かった所為だろう。
軽く肩で息をしているが、まだ余力はありそうだ。
「意外とやるんだな」
「……」
声をかけるが、何か言いたそうに視線をさまよわせている。
「何だ」
促すと、視線を獣に当てて、口を開いた。
「いや、あんた素手なのに強いなと思って」
「……あぁ、お前にはそう見えるのか。言っておくが俺は素手じゃないぞ」
ぽかんとした表情のウォルファーに、肩を竦めてみせる。
あえて手の内を明かす必要もない。
明かしていい武器でもないしな。
視界の隅で何かが動いた。
見るとルシェイドが獣の傍らに膝をついていた。
「汚れるぞ」
一応声をかけるが、答えは無い。
背を向けているので表情は見えない。
「……知り合いか」
獣に触れる手つきが優しくて、ついそう聞いていた。
「……昔、町にいた子だよ」
ぽつりとルシェイドが呟く。
「少し、臥せりがちだったけど、良い子でね……」
はぁ、と大きく溜め息を吐くと、何かを振り切るかのように勢いよく立ち上がる。
「さ、行こうか。まだもう少し先だから、こんな所でぐずぐずしているわけにもいかないからね」
じっと表情を見つめる。
いつもの笑顔。
だけど。
目は、笑っていなかった。
ウォルファーが、一歩踏み出す。
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