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2012/02/05 (Sun)
 彼はゆっくりと、何の感情も窺えない顔で闇の奥へと歩いていく。
 確かめもせずに、危険だと分かっているのだろうか。

「……『戻れ』! ルシェイド!」

 言った途端、ばちりと目の前に火花が散った。
 弾かれた。
 ぎり、と歯を食いしばる。
 油断している時でも無ければ強制の魔法は効かないと分かってはいたが、こうも完璧に弾かれるとは思っていなかった。
 舌打ちをして振り返る。
 まずは他の皆だ。

「ウォルファー! 素手で開けようとするな!」
 それまで必死に手で開けようとしていた彼は慌てて扉まで戻った。
 信じられない事に武器をそこに放り出していたらしい。
 優雅とさえ言える動作で鎌を一閃させる。
 金属のぶつかる音を立てて、格子は断ち切られた。
「ウォルファー、こっちも頼む」
 格子さえ崩せば、あとは自力で何とか出られるだろう。
 ウォルファーに声をかけて、ルシェイドの後を追う。
 既に姿は見えない。
 思ったより広いのかと考え、直ぐに一蹴する。
 振り返れば格子も既に見えない。
 そんなに離れていないはずだ。

 纏わりつくような闇。
 手足が重い。
 物音一つしない静寂の中、自分の心音だけが響いている気がする。
「ルシェイド!」
 呼びかける声もどこか遠い。

 おかしい。
 部屋の大きさより歩いているはずなのに端につかない。
 ふわふわした感触。
「……邪魔だな」
 闇を見据え、叫ぶ。

「『晴れろ』!」
 ゆらりと、闇がゆれた。
 だが、それだけだ。
 周囲に、それ以上の変化は無い。
 対象を指定しない言葉は効果が薄い。
 周りにあるのは闇だ。
 けれど、事実闇なのかが判別できない。
 何かの影である可能性もある。
「あぁ、面倒くさいな」
 闇を晴らすのではなく何か別の方法を考えなければならない。
 纏わりつく闇。
 布のような。

 布?
 はた、と一瞬止まる。
「……『燃えろ』!」
 炎が上がった。
 周囲の闇を払拭していく。
 黒く薄い何かを燃やしながら、視界が晴れていく。

 何、なのかはあまり考えたくない。
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