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2012/02/05 (Sun)
 俺はルシェイドをその場に横たわらせると、ゆっくりと立ち上がった。
 立ち上がるのにもかなりの気力がいる。
 だがここで寝ていれば確実に死ぬ。

「……さっきから、うるせぇんだよッ!」
 叫びざま、短刀を投げつける。
 それは狙い違わず、口と思しき穴に吸い込まれるように突き刺さった。

 黒塗りの剣。
 刃には死を招く呪いを。
 そして。
 名前は。

「黒死の剣! 『弾けろ』ッ!」

 叫ぶと同時に鳴き声は耳を劈く悲鳴へと変わった。
 それは巨体を激しく震わせると、手当たり次第に壁や床を叩きつけた。
 そのあまりの振動に思わず膝をつく。
 威力が足りなかった。
 それなら、もう一度。
「『弾けろ』ッ!」
 投げつけざま、叫ぶ。
 激しく暴れている為いくつかは逸れたが、他はまた内部で弾けた。
 飲み込んだのか、腹の部分が醜く肥大する。
 ぐぅ、と呻いて、それは緑色の体液を吐き出した。
 かからないように、ルシェイドを抱えて背後に跳躍する。
 液体が触れたところが白く煙をあげるのを見て、眉をひそめる。

 酸か。
 あたるわけにはいかない。
 緑の中に所々黒いものが混じっているのは、短剣の名残だろう。
 袖から別の短剣を取り出す。
 今の所反撃は無い。
 だがこのまま一気に仕留めた方が良いだろう。
 鳴き声は耳障りだ。
 短剣を投げつける。
 それの身体に。
 床に。
 周囲を覆うように。

「赤朱の色は炎を示す。『燃えろ』!」

 ばち、と火花が飛び散り、それを合図に短剣から炎が噴出す。
 焼け焦げる異臭。
 何度も嗅ぎたい臭いじゃない。
 悲鳴と苦鳴の混ざった絶叫を響かせ、それは炎の柱となって蠢いた。
 これ以上火力をあげるとこちらにまで被害が出る。

 燃え尽きろ、と念じながら、ルシェイドに火の粉が及ばないように庇う。
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