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2012/02/05 (Sun)
 ふと、ルシェイドが身動きをした。
「無茶はするな」
 俺の声には答えず、ルシェイドは蠢く触手だらけになったモノを見て、ゆっくりと右手を上げた。

「……核……」

 聞き取りにくいほどの小声で。
 掲げた右手は淡く光り、指差した先も同様の光を放ちはじめた。
 それは本体の中ほど、ともすれば見落としそうな白い小さな石だった。

 その石を隠そうというのか、触手がいくつか戻っていく。
 だが、隠されるわけにはいかない。
 懐から針を取り出す。
 長さは手の平ほど。
 薄い青色をした、透明な針だ。
 ウォルファーの動きを妨げず、触手の間隙を縫うようにして針を投げつける。
 石を囲うように突き刺さった針はいくつかを触手によって叩き落されたが、あの程度ならば問題は無い。

「薄氷の霧! 『凍れ』!」
 突き刺さった針を中心に次々と氷が形成され、同時に本体の動きも弱くなった。
「ウォルファー!」
「おう!」
 勢いよく答えて、走り出す。
 阻もうとした触手は悉くウォルファーの鎌に両断されていった。
「これで終わりだ!」
 叫びと共に鎌が振り下ろされる。

 彼は氷に包まれた核を綺麗に打ち砕いた。
 破片を撒き散らしながら、乾いた音を立てて石が落ちた。
 中を傷つけた為に鳴き声はもう出ない。
 けれど口を大きく悲鳴の形に開けたまま、それは融け崩れていった。

 直視は、したくない。

 ほう、と安堵の息が漏れる。
「ウォルファー、他の人は」
「全員外に逃がした。無事だよ」
「そうか……」

 ならばもう、目的は達したという事だ。
 もう一度、息を吐く。
 思っていたよりも、気を張っていたようだ。
 腕の中のルシェイドはまた意識を失っている。
 抱きかかえると、そのまま立ち上がった。
「行くぞ。長居は無用だ」
 踵を返しかけたとき、ウォルファーの切羽詰った声に動きが止まる。

「避けろ! ライナートッ!」


 警告は、一瞬遅かった。
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