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2012/02/05 (Sun)
「ライナート!」

 それの姿が崩れ、動きが弱まり、やがて動かなくなった頃、自分を呼ぶ声が聞こえた。
 動かない事を確認して、背後に視線を送ると、ウォルファーが走ってくるのが見えた。
 無事な姿を見て正直ほっとした。

 応えようとした時、ウォルファーの表情が変化した。

 驚愕。
 怖れ?
 何だ。

 瞬間、熱気を感じて身を捩る。
 左肩に灼熱の激痛。

 驚いて視線を落とすと、所々焼け焦げた触手が蠢きながら再度こちらに向かってきた。
 ほぼ反射的に、袖口から少し長めの刀を取り出して触手を切り伏せる。
 視線をそれに戻すと、黒く炭化した所を突き破って、白い腕や触手が蠢きながら出てきていた。
 黒く蠢く塊から、長く突き出た腕や触手はぬめりを帯びているかのように光っている。
 吐き気がする。

 手持ちの短剣は少ない。
 あれの名前さえ分かれば、息の根を止める事も可能なのに。
 だが定義はないと言った。
 つまり名など意味がないのだ。
 本来存在しないものだから。

 新しく向かってくる触手を切り落としていく。
 だが数が多い。
 右手はルシェイドを抱えている。
 左は先程の攻撃で上手く動かない。
 このままでは捌ききれない。

「ライナートッ!」
 叫び声に、はっとする。
 目の前に触手が迫っていた。

 避けきれない。

 だが、触手は届く寸前でウォルファーの鎌に一閃されていた。
「大丈夫か!?」
「……あぁ、助かった」
 ウォルファーの鎌に、触手が次々と切り落とされていく。
「あいつ、何なんだよ!」
「知るか。俺が聞きたいくらいだ」
 答えながら、視線はそれの弱点を探ろうと必死に見ていた。
 大雑把に焼いても触手が残っている。
 吹き飛ばそうにも威力が足りないし、下手をすれば酸の体液が飛び散る事になる。
 一撃で、周りに被害を出さずに倒すには、核となる部分を壊せば良い。
 ただそれがどこかわからない。
 触手の間隙をついて、ウォルファーが本体に切りかかる。
「体液に触れるな! ウォルファー!」
 忠告が聞こえたのか、切った後すぐに後ろに下がった。
「くそ、切っても切っても再生してくるぞ!」
 ウォルファーが悪態をつく。
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