小説用倉庫。
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がたんと、大きな音がした。
目を開けばそこは見慣れた自分の部屋で。
ベッドに仰向けに寝転んで、眠っていたらしい。
傍らの床に本が落ちていた。
黒い、本。
手を伸ばしてそれを拾う。
慎重に、書庫から持ってきたものだ。
けれど、そんなことよりも。
「夢か……」
ポツリと、どこか自嘲気味に笑う。
夢などいくら見ても、彼には関係ない。
彼が求めるのは、唯一つだから。
眩い空を見て、彼は笑った。
明るい空とは正反対な、暗い微笑いで。
「ラインシェーグ!」
「……セルファ……?」
振り向いて、掛けて来る相手の名を呼ぶ。
「やっと部屋から出てきたな。何やってたんだ?」
「別に……瞑想していただけだ」
「ふぅん」
首を傾げて、セルファが呟く。
「それより、急いでたんじゃないのか?」
「あ、そうそう。カウェラル様に呼ばれてたんだよ。忘れてた」
じゃあと片手を挙げて、走っていく。
その後ろ姿に手を振りながら、ラインシェーグは笑っていた。
底なしの闇のような、暗い笑みを。
その笑みを瞬時に消すと、表情を無くし、彼はきびすを返す。
ああ今までのことがすべて夢だったら良かったのに。
どこから?
出会う前から。
いっそ。
けれど待っているのは残酷な真実。
それは変わることのない事実で。
たとえ夢を見たとしても意味はない。
そう、意味はないのだ。
だから彼は決意する。
唯一つの、願いをかなえるために。
目を開けばそこは見慣れた自分の部屋で。
ベッドに仰向けに寝転んで、眠っていたらしい。
傍らの床に本が落ちていた。
黒い、本。
手を伸ばしてそれを拾う。
慎重に、書庫から持ってきたものだ。
けれど、そんなことよりも。
「夢か……」
ポツリと、どこか自嘲気味に笑う。
夢などいくら見ても、彼には関係ない。
彼が求めるのは、唯一つだから。
眩い空を見て、彼は笑った。
明るい空とは正反対な、暗い微笑いで。
「ラインシェーグ!」
「……セルファ……?」
振り向いて、掛けて来る相手の名を呼ぶ。
「やっと部屋から出てきたな。何やってたんだ?」
「別に……瞑想していただけだ」
「ふぅん」
首を傾げて、セルファが呟く。
「それより、急いでたんじゃないのか?」
「あ、そうそう。カウェラル様に呼ばれてたんだよ。忘れてた」
じゃあと片手を挙げて、走っていく。
その後ろ姿に手を振りながら、ラインシェーグは笑っていた。
底なしの闇のような、暗い笑みを。
その笑みを瞬時に消すと、表情を無くし、彼はきびすを返す。
ああ今までのことがすべて夢だったら良かったのに。
どこから?
出会う前から。
いっそ。
けれど待っているのは残酷な真実。
それは変わることのない事実で。
たとえ夢を見たとしても意味はない。
そう、意味はないのだ。
だから彼は決意する。
唯一つの、願いをかなえるために。
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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