小説用倉庫。
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「殺したのか」
背後で響いた声に振り返り、男、レヴィアールは頭を左右に振った。
「気絶させただけだ」
振り返った先に立っていたのは、彼にとっては旧知の人物だった。
レヴィアールとそう年の変わらなさそうな青年は、色違いの瞳を倒れた彼に向ける。
「彼を、どうするんだ? ディリク」
レヴィアールがディリクに尋ねる。
声は、少し不安そうだった。
「正気に戻す」
ディリクはにべも無い。
倒れている彼を肩に担ぎ上げ、ディリクは立ち上がった。
「戻らなかったら」
「……その時は、殺すしかない」
僅かに苦渋の滲む声だった。
そうか、とレヴィアールが言って視線を伏せ、次に上げた時には彼らの姿は何処にも見当たらなかった。
周りに立ち込める血の臭いが、夢ではなかったことを告げた。
「彼は」
「無事だ」
「良く、止められたね」
「村にいたからな」
暗い闇の中、声が響いていた。
「あぁ……あそこには彼がいるんだったね」
呟きと同時に淡い光が灯った。
其処にいたのは先程の青年、ディリクと、もっと小さい、少年だった。
「どうする?」
「正気に戻すよ。……戻さなきゃならない。彼は必要になるから」
「必要?」
謎めいた少年の言葉に、ディリクが僅かに顔を顰める。
「……彼の弟が倒れたときに」
「倒れるのか」
淡々と問うと、少年は躊躇いがちに頷いた。
言い過ぎた、と思っているのかもしれない。
だがそれ以上は問わず、そうか、と頷いた。
少年の役割は知っている。
そして自分がするべきことも。
ディリクは寝台に倒れて眠る彼に一瞥を与えてその方向に歩き出した。
彼を、起こす為に。
背後で響いた声に振り返り、男、レヴィアールは頭を左右に振った。
「気絶させただけだ」
振り返った先に立っていたのは、彼にとっては旧知の人物だった。
レヴィアールとそう年の変わらなさそうな青年は、色違いの瞳を倒れた彼に向ける。
「彼を、どうするんだ? ディリク」
レヴィアールがディリクに尋ねる。
声は、少し不安そうだった。
「正気に戻す」
ディリクはにべも無い。
倒れている彼を肩に担ぎ上げ、ディリクは立ち上がった。
「戻らなかったら」
「……その時は、殺すしかない」
僅かに苦渋の滲む声だった。
そうか、とレヴィアールが言って視線を伏せ、次に上げた時には彼らの姿は何処にも見当たらなかった。
周りに立ち込める血の臭いが、夢ではなかったことを告げた。
「彼は」
「無事だ」
「良く、止められたね」
「村にいたからな」
暗い闇の中、声が響いていた。
「あぁ……あそこには彼がいるんだったね」
呟きと同時に淡い光が灯った。
其処にいたのは先程の青年、ディリクと、もっと小さい、少年だった。
「どうする?」
「正気に戻すよ。……戻さなきゃならない。彼は必要になるから」
「必要?」
謎めいた少年の言葉に、ディリクが僅かに顔を顰める。
「……彼の弟が倒れたときに」
「倒れるのか」
淡々と問うと、少年は躊躇いがちに頷いた。
言い過ぎた、と思っているのかもしれない。
だがそれ以上は問わず、そうか、と頷いた。
少年の役割は知っている。
そして自分がするべきことも。
ディリクは寝台に倒れて眠る彼に一瞥を与えてその方向に歩き出した。
彼を、起こす為に。
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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