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2012/02/05 (Sun)
「…………!」
 エディウスはとっさにそれを防ぐ魔法を紡ぐ。
 魔獣を守るように。

 魔法が相殺されたことに気づいたフォリィアはエディウスのほうを見て怒鳴った。
「何をする!」
 エディウスはそれに応えず、立ち上って魔獣のほうに向かった。
 魔獣は唸り声を発して警戒している。
 触れれば届きそうなほど近くに行き、じっとみつめあう。

 不意に手を伸ばして、エディウスは魔獣の体に触れた。
「……いい子だ……」
 そっと呟いて、右手を横に振る。
 振った後にできたのは、門だった。
 界を渡るための。
 けれど光の壁ではない、暗い、門だ。
「……帰りなさい。……君のいる場所は、向こうだ……」
 魔獣はエディウスを見て、静かに門を潜った。
 通り過ぎたのを確認すると、エディウスはまた手を振って闇を消す。

 振り返ると驚愕の目でフォリィアが見ていた。
「何だ……?」
「……彼は、元々この人界に住むものじゃないから、帰しただけだよ……」
「魔獣のことを知っているのか?」
 エディウスは少し遠くを見るような目で答えた。
「あれは、……ぼくたちは魔獣とは呼んでいない……」
 訝しげにフォリィアは目を細める。
「……キメラと、……」
「……何だ、それは?」
 目を伏せて、彼は答えない。
 フォリィアは近寄ると、袖を引っ張った。
 身長がエディウスの腰のあたりまでしかないので見上げる形になる。

「答えろ」
 視線を合わせ、それでも躊躇うふうに眉を寄せるだけだ。
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