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2012/02/05 (Sun)
 ゆっくりと開ける。
 そこも光が多かったが、最初の部屋に比べると幾分抑えてあるようだった。
 窓には薄手のカーテンが下がり、それのおかげで部屋の中はまぶしくない。
 部屋の中は棚と机、それからベッドがある。
 天蓋付きのそれの中に身じろぎしたものを見つけて、フォリィアは近くに寄った。
 さらりと衣擦れの音をさせて紗が退かれる。
 現われたのは。

「……フォリィア……?」
 フォリィアが驚きに目を見張る。
「……エディウス……」
 深い紺色の瞳を眠そうに細めて、エディウスが彼を見上げていた。
 白い枕やシーツに、緋色の髪が散っている。
「何で……」
 刺されて、倒れたはずの。
 けれどそこに居るのは普段通りの彼。
「……どうして、フォリィアがここに、……いるの……?」
 いつもの口調。
 けれど顔色が。
 まだ青い。
「ここは、どこなんだ? ……平気なのか? その……」
 言葉を濁した彼を見て、エディウスが半身を起こす。
「……神界には、人族は来れないって……聞いたんだけど……」
「ではここは神界なのか?」
「……知らないで、きたの……?」
 驚いたように言うエディウスに、憮然としてフォリィアが答える。
「連れて来られたんだ。行き先は聞いても答えなかった」
「……ルシェイドらしい……ッ!」
 笑おうとしたが、ふいに胸のあたりを抑えてかがむ。

 フォリィアは慌てて膝を落す。
「大丈夫か? ……まだ痛むのか」
「……このくらいは、仕方ないよ……彼も万能では、無いから……」
 弱々しく微笑む彼が痛ましくて、横にさせる。
「まだ寝ていたほうが良いだろう」
「……でも……」
「……生きていただけで、私は嬉しいよ」
 その言葉に、エディウスは目を見開いたが、すぐに微笑んだ。
 フォリィアも笑みを返す。
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