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2012/02/05 (Sun)
 その後、エディウスが自力で歩けるようになるまで一月を要した。
 フォリィアの方では目立った動きもない。

 まがい物を使っていた連中で主だったものはあの三人だけだったらしく、念の為にとしばらく通っていたディリクも安堵しているようだ。
 今までと変わりないように思えた。
 ただひとつを除いて。

「……王位についたところでやることは大して変わらんと思ってたんだが…」
 目の前の書類の山を見ながらフォリィアが呟く。
「兄上! 本日分の書類を持ってきました。あ、いらしてたんですね。ごゆっくりどうぞ」
 ばたんと扉を開けてルークが入ってきた。
 執務机まで歩く途中で集まっている面々に気づき、笑顔で挨拶する。
「はい、終わっているものは持っていきますね。それでは」
 手際良く書類を集めると颯爽と部屋から出て行った。
 苦虫を噛み潰したような表情でフォリィアがため息をついた。

「おかげで少し楽だが……まだ慣れないな」
「あれから結構たってるのに?」
「それまでが長かったからな」
 呑気に聞いてくるルシェイドに片眉を上げて答える。
「へー。俺はその頃自分のことで手一杯だったからなー」
 惜しいことした、と嘆くのはグラディウスだ。
 魔界の王に就任後、何故かちょくちょく来るようになっている。

「……でも、何事も、無いなら……それで、良いんじゃないかな……」
 お茶を飲みながらエディウスが微笑む。

 フォリィアは一同を見回し、苦笑した。
「そうだな」

 外は晴天で、柔らかな日差しが降り注いでいた。
 穏やかな時間が過ぎていく。

 この平穏は続くだろう。
 きっと、暫くの間は。
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