小説用倉庫。
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「……どうなされたのです? 兄上」
きょとん、と見上げてくるのは長く一緒に居た弟のはずで。
けれど此処何年も、こんな無防備な、慕うような表情は見たことはない。
「……どうやら性格がおかしいみたいだね……」
「ほかに支障はなさそうだから、構わないんじゃないか」
おかしな表情をするルシェイドを、ディリクがさらりと切り捨てる。
「何だ? 何が起こったんだ?」
混乱する頭で目の前の出来事を受け入れようと頑張る。
が、頑張ったところで頭が事実の受け入れを拒否していた。
「まがい物の副作用だよ。性格以外変わったところはないようだから、安心していいよ」
あはは、と笑いながら、ルシェイドが断言する。
「……兄上、この方たちは?」
そこで初めて気づいたかのように、ルークが二人を見て首をかしげた。
「この二人は私の友人だ。……おい、どうするんだ?」
視線をルークに向けたまま、二人へ問いかける。
「どうって……別に良いんじゃない? 何か問題ある?」
「問題って……いきなり変わってたらおかしいと思われるだろう」
「じゃあ暗示をかけてこよう」
さっと立ち上がったルシェイドに、慌ててフォリィアが問い掛ける。
「ちょっと待て、どういうことだ?」
「どうって……」
「こいつがおかしくなったことを悟らせなければいいのだろう?」
実にあっさりとディリクが言う。
「ちょっと大掛かりだけど、まぁまだ楽だよね」
「まぁ返しよりはな」
「範囲はどうしようか」
「王都……と、この地方くらいでいいんじゃないか」
「そうだね。後はその都度……」
「それより地方からの旅人に反応して……」
「お、おい。ちょっと待て」
勝手な相談を始めた二人を遮る。
何、と怪訝そうにフォリィアを振り返る二人に言葉を詰まらせた。
気持ちが萎えそうになるのを堪えながら、三人を見回す。
三人はじっとフォリィアを見ている。
一様に見つめられて居心地の悪いものを感じてしまう。
「それじゃ、行くよ、ディリク」
「あぁ。そうだな」
言葉を返せずにいると、二人はさっさと牢を出て行った。
きょとん、と見上げてくるのは長く一緒に居た弟のはずで。
けれど此処何年も、こんな無防備な、慕うような表情は見たことはない。
「……どうやら性格がおかしいみたいだね……」
「ほかに支障はなさそうだから、構わないんじゃないか」
おかしな表情をするルシェイドを、ディリクがさらりと切り捨てる。
「何だ? 何が起こったんだ?」
混乱する頭で目の前の出来事を受け入れようと頑張る。
が、頑張ったところで頭が事実の受け入れを拒否していた。
「まがい物の副作用だよ。性格以外変わったところはないようだから、安心していいよ」
あはは、と笑いながら、ルシェイドが断言する。
「……兄上、この方たちは?」
そこで初めて気づいたかのように、ルークが二人を見て首をかしげた。
「この二人は私の友人だ。……おい、どうするんだ?」
視線をルークに向けたまま、二人へ問いかける。
「どうって……別に良いんじゃない? 何か問題ある?」
「問題って……いきなり変わってたらおかしいと思われるだろう」
「じゃあ暗示をかけてこよう」
さっと立ち上がったルシェイドに、慌ててフォリィアが問い掛ける。
「ちょっと待て、どういうことだ?」
「どうって……」
「こいつがおかしくなったことを悟らせなければいいのだろう?」
実にあっさりとディリクが言う。
「ちょっと大掛かりだけど、まぁまだ楽だよね」
「まぁ返しよりはな」
「範囲はどうしようか」
「王都……と、この地方くらいでいいんじゃないか」
「そうだね。後はその都度……」
「それより地方からの旅人に反応して……」
「お、おい。ちょっと待て」
勝手な相談を始めた二人を遮る。
何、と怪訝そうにフォリィアを振り返る二人に言葉を詰まらせた。
気持ちが萎えそうになるのを堪えながら、三人を見回す。
三人はじっとフォリィアを見ている。
一様に見つめられて居心地の悪いものを感じてしまう。
「それじゃ、行くよ、ディリク」
「あぁ。そうだな」
言葉を返せずにいると、二人はさっさと牢を出て行った。
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管理者:西(逆凪)、または沖縞
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