小説用倉庫。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
聞き覚えのある声に、振り返らずに答える。
「何って見りゃ分かるだろ。侵入者を排除しようとしてるんだ」
ひょい、と視界の隅に頭が見えた。
珍しい青緑の髪。
魔族ではないらしいが、では何かと問うといつもはぐらかされてしまう。
名を、ルシェイドという。
何処から来てるのか知らないが、最近は割合良く来る。
リーヴァセウスの客だ。
「ふーん……?」
ルシェイドはしゃがみ込むとそいつと視線を合わせた。
そいつはやはりきょとんとした表情でルシェイドを見返している。
「んー……」
間延びした声を出しながら、彼は手に持っていた杖で侵入者を殴った。
いきなりの事に発動しようとしていた魔法の構成が一瞬で崩れる。
勢いがあったのだろう、そいつは後ろの壁にも頭をぶつけた。
ガン、といい音がする。
「起きた?」
「……つーかそれ以前に目、回してんぞ」
起こそうと殴ったらしいが、むしろ逆効果だ。
「お前そいつに何か恨みでもあんのか」
「え、別に無いよ。初対面だし」
……初対面の相手にこの仕打ち。
半ば虚ろな目で視線を動かしていると、でも、と呟く声が聞こえた。
「害は無いと思うよ」
「何だそりゃ。勘か」
「まぁそうだね」
俺は溜め息をついて倒れこんだ奴の傍にしゃがみ込んだ。
「……それは、信用していいんだな?」
「うん。良いよ」
にこりと、ルシェイドが笑って返す。
「こんな所に置いといても邪魔だし、運んじゃおうよ」
とは言うものの、中身は知らないがルシェイドは見た目子どもだ。
腕だって俺より随分細い。
運ぶのは俺の役目だ。
だが俺だって人一人担げば行動に支障が出る。
子供ならまだしも、そいつはまだ若そうだが、俺と同じくらいの体躯だ。
「ルシェイド、重さのかけてくれ」
言いながらそいつに手を伸ばし、担ぎ上げた。
特に重さは感じない。
ふと見ると、ルシェイドが侵入者の服の裾を掴んでいた。
今、ルシェイドに頼んだのは、重さを制御する魔法だ。
俺の知る限りでは、ルシェイドが最も魔法に長けている。
本人にどのくらい使えるのか聞いてみたところ、およそ現存する魔法はすべて使えるらしい。
嘘か本当か知らねぇけど。
「何って見りゃ分かるだろ。侵入者を排除しようとしてるんだ」
ひょい、と視界の隅に頭が見えた。
珍しい青緑の髪。
魔族ではないらしいが、では何かと問うといつもはぐらかされてしまう。
名を、ルシェイドという。
何処から来てるのか知らないが、最近は割合良く来る。
リーヴァセウスの客だ。
「ふーん……?」
ルシェイドはしゃがみ込むとそいつと視線を合わせた。
そいつはやはりきょとんとした表情でルシェイドを見返している。
「んー……」
間延びした声を出しながら、彼は手に持っていた杖で侵入者を殴った。
いきなりの事に発動しようとしていた魔法の構成が一瞬で崩れる。
勢いがあったのだろう、そいつは後ろの壁にも頭をぶつけた。
ガン、といい音がする。
「起きた?」
「……つーかそれ以前に目、回してんぞ」
起こそうと殴ったらしいが、むしろ逆効果だ。
「お前そいつに何か恨みでもあんのか」
「え、別に無いよ。初対面だし」
……初対面の相手にこの仕打ち。
半ば虚ろな目で視線を動かしていると、でも、と呟く声が聞こえた。
「害は無いと思うよ」
「何だそりゃ。勘か」
「まぁそうだね」
俺は溜め息をついて倒れこんだ奴の傍にしゃがみ込んだ。
「……それは、信用していいんだな?」
「うん。良いよ」
にこりと、ルシェイドが笑って返す。
「こんな所に置いといても邪魔だし、運んじゃおうよ」
とは言うものの、中身は知らないがルシェイドは見た目子どもだ。
腕だって俺より随分細い。
運ぶのは俺の役目だ。
だが俺だって人一人担げば行動に支障が出る。
子供ならまだしも、そいつはまだ若そうだが、俺と同じくらいの体躯だ。
「ルシェイド、重さのかけてくれ」
言いながらそいつに手を伸ばし、担ぎ上げた。
特に重さは感じない。
ふと見ると、ルシェイドが侵入者の服の裾を掴んでいた。
今、ルシェイドに頼んだのは、重さを制御する魔法だ。
俺の知る限りでは、ルシェイドが最も魔法に長けている。
本人にどのくらい使えるのか聞いてみたところ、およそ現存する魔法はすべて使えるらしい。
嘘か本当か知らねぇけど。
Comment
倉庫
管理者:西(逆凪)、または沖縞
文章の無断転載及び複製は禁止。
文章の無断転載及び複製は禁止。
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
- ご挨拶。(3)
- [長編] Reparationem damni(12)
- [長編] Nocte repono rubei(72)
- [長編] Sinister ocularis vulnus (30)
- [長編] Lux regnum(61)
- [長編] Pirata insula(47)
- [長編] Purpura discipulus(43)
- [長編] Quinque lapidem(29)
- [短編] Canticum Dei(3)
- [短編] Candidus Penna(9)
- [短編] Dignitate viveret,Mori dignitas (11)
- [短編] Praefiscine(3)