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2012/02/05 (Sun)
 どこに行けばあの二人が見つかるかわからなかったので、ひとまず自室に戻ることにした。
 誰かいるかと思われたそこは、しんと静まり返っていた。
 いつのまにか誰かがいることが日常となっていたらしい。
 そう思って苦笑する。
 昔はいつもこんなだったのに。
 机の上にまた新しい書類が増えていることに気づき、ため息をつきながらそれを片付けるために机に向かった。
 どうやら、寝られそうもない。

 机の上の書類が半分ほど終わったとき、誰かが扉をノックした。
「入れ」
 短く言うと、扉が開かれる。
 目を上げずにいると、侵入者は扉のところに立ち止まっているらしい。
 怪訝に思って視線を上げると、そこにいたのはディリクだった。
「どうしたんだ?」
「……いや。ルシェイドは?」
 ゆっくりと近寄ってくるが、ためらうように立ちすくんだままだ。
「少なくとも私がいる間はまだ戻っていない。座ったらどうだ」
「あぁ……」
 どこかぼんやりしている。
「疲れているならそこで横になればいい。邪魔はしない」
「すまん」
 ディリクはソファに座ると、目を閉じた。

 それからしばらく。
 かたりと唐突に扉が開かれた。
「あ~疲れた」
「ルシェイド」
 伸びをしながら入ってきたルシェイドに静かに声をかけると、きょとんとしてフォリィアの方を見た。
 手に持っていたペンでソファを示す。
 きょとんとした顔のままソファの前に回りこみ、ディリクが横になっているのを確認する。
「ありゃ……寝てるのか……」
 小声でつぶやくと、向かいのソファに腰をおろす。
 フォリィアはおもむろに立ち上がると、隣の寝室から毛布を持ってきた。
 1枚をルシェイドに放ると、もう1枚をディリクにかける。
「あ、ありがとー」
 毛布を広げながら、礼を言う。
 ディリクのほうは起きなかった。
「ディリク一回寝ちゃうと起きないんだよね……」
 苦笑してルシェイドが囁く。
「そうなのか。長い付き合いみたいだな」
「うん……まぁね」
 少し沈んだ表情になってしまったので、禁句だったかと思う。
 乱暴にルシェイドの頭をくしゃくしゃと撫で、おまけで軽く叩く。
「寝ろ。疲れているんだろう?」
 くしゃくしゃになった頭を片手で抑えながら、フォリィアを見上げて微笑む。
「ありがとう。フォリィア」
 言うが早いかぱたりと倒れ、寝入ってしまう。

 笑顔だけなら見かけどおりなんだが、と苦笑しつつ、残り少なくなった書類を片付けに作業に戻った。
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