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2012/02/05 (Sun)
 追いかけて出ようとすると、袖を引かれた。
「兄上、待ってください」
「何だ?」
「何故、私はここにいるのですか?」
 不安そうに聞かれたことにはっとして、フォリィアはルシェイドを呼ぶ。
「何?」
 彼は少し不機嫌そうに戻ってきた。
 後ろからはディリクが顔を見せている。

「性格変わったことはいいとして、こいつが何故ここにいるのかはどうするんだ?」
「あ、そうか。……どうしたい?」
 うーんと腕組みをして、ルシェイドは首を傾げる。
 フォリィアはしばらく考え込んでから、おもむろに口を開いた。
「なかったことにってできるか?」
「どういうこと?」
「だから……エディウスを刺そうとしたことが、なければ、……こいつはここにいなくてもいいわけだし」
 どうしても視線が泳ぐ。
 けれど何とかルシェイドへと視線を戻す。

 不意にルシェイドは底の知れない深い表情を見せると、静かに聞いてきた。

「本当にそれでいい?」

 いつもの、明るく見える彼とは全く違う表情。
 それでも答えに詰まったのはほんの一瞬。
「かまわない」
 ルシェイドは短く息を吐くと、頷いてきびすを返した。
 呆れたような、表情がちらりと見えた気がした。
 ルークに向き直り、立たせる。
「お前はこれから自分の部屋に帰るんだ」
 わからないか、と思ったが、意外にも素直に頷く。
「わかりました、兄上」
 にっこりと微笑まれて、フォリィアは変な気分になる。
 今までこんな風に微笑まれたことなどなかったから。
 気がつくと何故か鳥肌が立っていた。
 これに、慣れないといけないのか。
 先に立って歩くルークの後ろを追いながら、聞こえないようにため息をついた。
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