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2012/02/05 (Sun)
 俺がそいつを見つけたのは、城内での見回りの最中だった。

 俺がリーヴァセウスに連れられて城に来てから、既に十年近い年月が過ぎていた。
 リーヴァセウスが王だってことを認識するのは難しかったが、まぁこれだけ一緒にいればどうでもいいっつーか順応してしまうものだ。
 この城に来ていろいろあったが、俺は二年程前から城の管理者になっていた。
 他の魔族から見れば破格の出世だろうが、他に適役がいなかったんだからしょうがない。
 警護も兼ねているから、害を成そうと入ってくるどっかの馬鹿が居ないかどうか見回るのも一応俺の役目だ。

 何かが落ちているのに気がついたのは、正門を出たときだった。
 それは正門脇の壁にあった。
 最初はなんだか分からなかった。
 薄茶色の布の塊と、その上に乗った薄水色の髪。

 ゴミか?
 警戒しつつ進み、途中で足を止めた。
 その塊の近くで何かが光を反射したからだ。
 布の傍に置いてあるそれは、鎌だった。
 背丈と同じくらいはあろうかという、大きな鎌だ。
 重さも相当なものだろう。
「おい」
 いくつかの魔法による障壁を築きながら、普通に呼びかけてみるが返答が無い。
 というか動きが無い。
 起きていて動かないのか、寝ているのか、それとも死んでいるのか。
 少し離れた位置に居るので判別できない。
「起きろッ!」
「えっ……わ!」
 怒鳴ると、がばっと勢い良く頭が上がった。
 よし、少なくとも死んではいなかったな。
「お前は誰だ? こんな所で何してる」
 そいつは目を瞬かせ、ぽかんとした顔で俺を見た。
「答えろ。返答によっては強制的に排除するぞ」
 青い大き目の目を見開き、俺を見つめたまま。
 返答が無い。

 風に吹かれ、そいつの髪についている色とりどりの小さな石がちりりと鳴った。
 というか何だあの石。
 この辺では見かけない装飾だ。
 しかしこのままでは埒があかない。

「何やってるの?」
 このままこうしていても仕方ないので強制排除を実行しようとしたら、背後から別の声が響いた。
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