小説用倉庫。
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やがてその沈黙を打ち破るかのようにオルカーンが伸びをしながら言った。
「まぁ、此処で考え込んでても仕方ないだろうし、まずは俺たちの目的を達成してから考えようぜ」
「……そうだな。ルートはどうする?」
言いながら、改めて地図を眺める。
「とりあえずウェリアに行って、其処から海路でシュイザかなぁ」
「そのままイーアリーサに行けないの?」
イーアリーサは北の海沿いだ。
船でそのまま行けるのではないかと、そういうことだろう。
「……無理だ。北は海流が激しいし、船をつける岸が無いからな」
場所を思い出しながらルベアが言う。
この中であそこまで行った事があるのは彼だけだ。
否。
レインも、行った事があるかもしれないが。
「まぁ街道があるし、楽といえば楽なんじゃないかな」
のんびりと言うオルカーンを、二人が驚いたように見た。
「……」
ややあって、オルカーンがぼそりと呟く。
「……悪かったよ」
人を襲う魔獣と同様の姿を持つオルカーンは、普通に街道を歩くとかなりの騒ぎを起こす。
時には討伐隊まで組まれるほどだ。
というよりその魔獣と同じ種族なのだが。
元々この種族は知性を持たず、手当たり次第に人を襲う。
退治しようにも生半な相手では返り討ちにあうのが関の山だ。
そんな中、オルカーンのような存在は極めて稀で、一般の人にはあまり受け入れてもらえない。
「んー、額の目を隠してみるとか」
「……ついでに尻尾も結ぶか。そうすればそう見分けはつかなさそうだ」
ルベアがにやりと笑ってレインの提案に付け足す。
頭を伏せ、オルカーンは喉の奥で唸った。
「以前それで失敗したろ。またあんな大騒ぎになるのは嫌だよ」
辟易した様子にルベアとレインが笑う。
「街道に近いところを選べばそれなりに楽だろう。そろそろ出発するぞ。今日中に川向こうに行きたい」
言って、ルベアは手早く荷物をまとめた。
地図も折りたたんで仕舞う。
レインも荷物をまとめながら、ふと首を傾げた。
「エールを通るの?」
「いや。少し南下すれば橋があるはずだ。其処を渡る」
「え、橋?」
驚いたように身を起こすオルカーンを見て、ルベアが苦笑する。
「心配しなくても、人通りはそう多くない。騒がれる事はあまり無いだろう」
準備が整ったところで周りを見回す。
人が居たという気配は特に残っていない。
残してはいない。
問題は無いだろう。
「行くぞ」
促して、その場を後にする。
特に何も無ければ、明日中にはウェリアに着くはずだ。
「まぁ、此処で考え込んでても仕方ないだろうし、まずは俺たちの目的を達成してから考えようぜ」
「……そうだな。ルートはどうする?」
言いながら、改めて地図を眺める。
「とりあえずウェリアに行って、其処から海路でシュイザかなぁ」
「そのままイーアリーサに行けないの?」
イーアリーサは北の海沿いだ。
船でそのまま行けるのではないかと、そういうことだろう。
「……無理だ。北は海流が激しいし、船をつける岸が無いからな」
場所を思い出しながらルベアが言う。
この中であそこまで行った事があるのは彼だけだ。
否。
レインも、行った事があるかもしれないが。
「まぁ街道があるし、楽といえば楽なんじゃないかな」
のんびりと言うオルカーンを、二人が驚いたように見た。
「……」
ややあって、オルカーンがぼそりと呟く。
「……悪かったよ」
人を襲う魔獣と同様の姿を持つオルカーンは、普通に街道を歩くとかなりの騒ぎを起こす。
時には討伐隊まで組まれるほどだ。
というよりその魔獣と同じ種族なのだが。
元々この種族は知性を持たず、手当たり次第に人を襲う。
退治しようにも生半な相手では返り討ちにあうのが関の山だ。
そんな中、オルカーンのような存在は極めて稀で、一般の人にはあまり受け入れてもらえない。
「んー、額の目を隠してみるとか」
「……ついでに尻尾も結ぶか。そうすればそう見分けはつかなさそうだ」
ルベアがにやりと笑ってレインの提案に付け足す。
頭を伏せ、オルカーンは喉の奥で唸った。
「以前それで失敗したろ。またあんな大騒ぎになるのは嫌だよ」
辟易した様子にルベアとレインが笑う。
「街道に近いところを選べばそれなりに楽だろう。そろそろ出発するぞ。今日中に川向こうに行きたい」
言って、ルベアは手早く荷物をまとめた。
地図も折りたたんで仕舞う。
レインも荷物をまとめながら、ふと首を傾げた。
「エールを通るの?」
「いや。少し南下すれば橋があるはずだ。其処を渡る」
「え、橋?」
驚いたように身を起こすオルカーンを見て、ルベアが苦笑する。
「心配しなくても、人通りはそう多くない。騒がれる事はあまり無いだろう」
準備が整ったところで周りを見回す。
人が居たという気配は特に残っていない。
残してはいない。
問題は無いだろう。
「行くぞ」
促して、その場を後にする。
特に何も無ければ、明日中にはウェリアに着くはずだ。
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