小説用倉庫。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
立ち止まったのは、何の変哲も無い扉の前。
「此処だ」
「……え?」
怪訝そうな声をあげて、オルカーンは改めて扉と、その周囲を見た。
石造りの壁、何の装飾も無い、板のような扉。
色は薄暗い為によくわからないが、多分白か、灰色だろう。
どちらもそれなりの年月を感じるものだが、店の看板すらない。
一見普通の裏口だ。
半ば呆然と扉を見上げていると、ルベアがノックも無しに扉を開けた。
中を覗き込んで目を丸くする。
暗い。
明かりの一つも灯っているように見えない。
僅かな光源は、今開けた扉からのみ。
「……何かの間違いじゃなくて?」
ルベアを見上げて言う。
見上げた先の表情は、薄暗かったが困惑と、諦めが滲んでいるように見えた。
「……いいから入れ。閉めるぞ」
渋々ながら中に入ると、ルベアが扉を閉めた。
直ぐ目の前すら見えない闇に包まれる。
「これじゃ何にも……」
見えないよ、と言いかけたところで、前方に薄く明かりが灯ったのを感じた。
それに連鎖するように、部屋のあちこちから同じような薄い明かりが灯る。
部屋の中は漸く、見通せるようになった。
それほど広くも無い部屋の中は、背の高い棚がいくつか並び、そのそれぞれに用途もよくわからない瓶や書籍等が積まれている。
瓶の形も様々だ。
きょろきょろと周りを見回すオルカーンを置いて、ルベアは店の奥へと進んでいった。
「ディリク、いないのか?」
店の最奥にあるカウンターの向こうへ声をかける。
店内に人の気配は無い。
「奥へ連れて来い」
奥から声が響いた。
低いが、通りの良い声だ。
ルベアはオルカーンを振り返り、ついてくるように促す。
カウンターの奥は細い通路になっていて、左右と正面に扉がある。
「こっちだ」
声は左から聞こえた。
扉を押し開けると、中はやはり薄暗かった。
だがそれよりも、中の内装に目を見開く。
その部屋には窓は一つも無かった。
調度品すら置いていない。
あるのは幾つかの瓶、植物、書類の束。
そして床の中央には、魔方陣が敷かれていた。
陣の中心には店の主人であるディリクが立っている。
薄茶の髪。
青と、金の色違いの瞳。
背はルベアよりも高い。
だがひ弱な感じも、頑丈な感じも受けない。
左半身を向けていた彼は、ルベア達が入るのを見て正面に向き直った。
「此処だ」
「……え?」
怪訝そうな声をあげて、オルカーンは改めて扉と、その周囲を見た。
石造りの壁、何の装飾も無い、板のような扉。
色は薄暗い為によくわからないが、多分白か、灰色だろう。
どちらもそれなりの年月を感じるものだが、店の看板すらない。
一見普通の裏口だ。
半ば呆然と扉を見上げていると、ルベアがノックも無しに扉を開けた。
中を覗き込んで目を丸くする。
暗い。
明かりの一つも灯っているように見えない。
僅かな光源は、今開けた扉からのみ。
「……何かの間違いじゃなくて?」
ルベアを見上げて言う。
見上げた先の表情は、薄暗かったが困惑と、諦めが滲んでいるように見えた。
「……いいから入れ。閉めるぞ」
渋々ながら中に入ると、ルベアが扉を閉めた。
直ぐ目の前すら見えない闇に包まれる。
「これじゃ何にも……」
見えないよ、と言いかけたところで、前方に薄く明かりが灯ったのを感じた。
それに連鎖するように、部屋のあちこちから同じような薄い明かりが灯る。
部屋の中は漸く、見通せるようになった。
それほど広くも無い部屋の中は、背の高い棚がいくつか並び、そのそれぞれに用途もよくわからない瓶や書籍等が積まれている。
瓶の形も様々だ。
きょろきょろと周りを見回すオルカーンを置いて、ルベアは店の奥へと進んでいった。
「ディリク、いないのか?」
店の最奥にあるカウンターの向こうへ声をかける。
店内に人の気配は無い。
「奥へ連れて来い」
奥から声が響いた。
低いが、通りの良い声だ。
ルベアはオルカーンを振り返り、ついてくるように促す。
カウンターの奥は細い通路になっていて、左右と正面に扉がある。
「こっちだ」
声は左から聞こえた。
扉を押し開けると、中はやはり薄暗かった。
だがそれよりも、中の内装に目を見開く。
その部屋には窓は一つも無かった。
調度品すら置いていない。
あるのは幾つかの瓶、植物、書類の束。
そして床の中央には、魔方陣が敷かれていた。
陣の中心には店の主人であるディリクが立っている。
薄茶の髪。
青と、金の色違いの瞳。
背はルベアよりも高い。
だがひ弱な感じも、頑丈な感じも受けない。
左半身を向けていた彼は、ルベア達が入るのを見て正面に向き直った。
Comment
倉庫
管理者:西(逆凪)、または沖縞
文章の無断転載及び複製は禁止。
文章の無断転載及び複製は禁止。
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
- ご挨拶。(3)
- [長編] Reparationem damni(12)
- [長編] Nocte repono rubei(72)
- [長編] Sinister ocularis vulnus (30)
- [長編] Lux regnum(61)
- [長編] Pirata insula(47)
- [長編] Purpura discipulus(43)
- [長編] Quinque lapidem(29)
- [短編] Canticum Dei(3)
- [短編] Candidus Penna(9)
- [短編] Dignitate viveret,Mori dignitas (11)
- [短編] Praefiscine(3)